「電話対応は勤務時間のみ」 教員働き方改革14項目、新年度からスタート 青森県内の県立学校

「教職員が子どもと向き合う時間を確保できるよう、余白をつくりたい」と述べた風張教育長

 青森県教育委員会は10日、教職員の働き方改革の具体策として3分類14項目の方向性を示した。保護者など外部からの電話連絡対応は勤務時間内を基本とし、時間外はデジタルの連絡フォームを使用する。全ての県立学校で新年度から運用する。県独自に2003年から小5と中2を対象に行ってきた学習状況調査は「全国学力・学習状況調査(全国学テ)のデータを活用し分析できる」として24年度以降は実施せず、全国学テに機能を集約・統合すると正式に発表した。

 県教委は24年度予算の成立を待たず直ちに実行する施策の方向性を「第1弾」として発表。24年度予算に関連する施策は来月、「第2弾」で公表する。

 3分類は中教審が19年に示した(1)基本的には学校以外が担うべき業務(2)学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務(3)教師の業務だが負担軽減が可能な業務-に沿っており、14項目それぞれで県教委が取り組む方向性を挙げた。一人一台端末運用支援や保護者からの連絡フォームの設定支援のため、3月末までに全県立学校にICT(情報通信技術)教育サポーターを派遣するほか、県や県教委が学校現場に依頼している統計や調査の精選・見直しを直ちに進める。

 このほか、給食時の見守りはスクールサポートスタッフ(SSS)を活用、休み時間の見守り等はSSSを活用、評価や成績処理にICT活用-など、方向性を列挙した。

 また、県独自の学習状況調査終了の背景として▽個別最適な学びと協働的な学びを組み合わせた「令和の日本型学校教育」での授業改善が求められている▽教員が自らの授業を磨くための時間が必要-などがあると説明。全国学テへの集約は働き方改革にもつながるとの見解を示した。

 長内修吾教育次長は「県と全国の二つの調査を経験することで青森県の学力は良好な状況にあった。(県調査は)教科指導、授業改善に成果があった」と所感を述べた。風張知子教育長は「教職員の働き方改革など学校教育の課題にスピード感を持って対応する。教職員が笑顔で子どもと向き合う時間を確保できるよう、余白をつくりたい」と述べた。

 県教委は実践例を市町村教委などにも情報提供し、全県の公立学校で改革の機運を高めたい考え。

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