「刺身とろさば」など製造 水産加工・マルカネ(青森・八戸市)が自己破産申請

 信用調査会社の帝国データバンク八戸支店と東京商工リサーチ青森支店によると、青森県八戸市の水産加工業「合同会社マルカネ」(資本金500万円、秋山兼男代表社員、従業員10人)が10日までに事業を停止し、青森地裁八戸支部へ自己破産を申請した。負債額は約2億1600万円。

 申請代理人は、あおば綜合法律事務所(八戸市)の熊谷清一、山田秀隆両弁護士で、申請は9日付。両支店などによると、マルカネは、2011年3月の東日本大震災の影響で秋山氏が当時働いていた事業所が閉鎖されることになり、秋山氏ら3人で同年7月に設立した。

 八戸産のサバを使用したしめさばなどを製造。「紙技」という独自の技術により、昆布締めやしょうゆ漬けの「刺身とろさば」などの商品を開発してきた。サバと県産ニンニクや津軽味噌(みそ)を組み合わせるなど農水連携の商品開発にも積極的に取り組み、同市の館鼻岸壁朝市にも出店。売上高は設立当初は年間2千万円だったが、19年6月期には約2億6千万円台に伸びた。

 近年は、長引く八戸港の水揚げ不振や、コロナ禍で相次いだ得意先の飲食店休業による受注減少など経営環境が悪化。国産サバの代替としてノルウェー産サバを活用するなど再建に努めてきたが、原料高、製造コスト上昇もあり先行きの見通しが立たないことで今回の措置になった。

 10日、同社の建物には「申し訳ございませんが、1月9日、事業を廃止することとなりました」との掲示があった。

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