余震の中道路復旧に奮闘 珠洲派遣の陸自富山駐屯地隊員 整地後に土砂崩れ、再び撤去繰り返し

道路の復旧作業を進める陸上自衛隊第7施設群第382施設中隊=珠洲市内(陸自富山駐屯地提供)

  ●不眠不休、生存者救出も

 能登半島地震で壊滅的な被害を受けた珠洲市で災害支援を続ける陸上自衛隊富山駐屯地(砺波市)の隊員が、頻発する余震の中で道路の復旧を急いでいる。地震の揺れと雨や雪で地盤が緩み、仮復旧を進めても余震で崩れた土砂が再び道路を覆う状況が繰り返される中、隊員は円滑に救援物資を届けるルートを少しでも早く切り開こうと復旧作業に奮闘している。

 富山駐屯地第7施設群第382施設中隊の川端教誉副中隊長が被災地の状況を語った。川端副中隊長らは2日から珠洲に災害派遣され、10日に再び現地入りした。

 第382施設中隊の栗谷健治隊長(富山駐屯地司令)ら37人をはじめ、施設直接支援隊員らが2日から被災地に向かった。珠洲市の蛸島公民館を拠点に同市北側で倒壊家屋の除去による人命救助の支援や、寸断して通れなくなった道路の復旧作業に当たっている。

 珠洲の北東部で寸断した市道の復旧を進めるため、機材を用いて壊れたアスファルトをめくって整地を続ける。内陸から海岸線に向かっていたところで余震があり、土砂崩れが発生。当初の計画を断念し、別のルートに変更してなんとか延長2キロを開通させた。しかし、その後も余震で再び土砂崩れがあり、崩落した土砂を撤去する状況を繰り返している。川端副中隊長は「余震との戦い。揺れや雨と雪で地盤が緩んでおり、すぐに崩れるので苦労している」とつぶやいた。

 現地では隊員が不眠不休で活動を続け、倒壊家屋の人命救助で30件以上を支援した。生存者を救出したケースもあったという。

 東日本大震災や阪神大震災など大規模災害で支援に当たった経験がある川端副中隊長は多数の倒壊家屋を目の当たりにして「震度7の脅威を感じている。非常に甚大な被害」と話す。余震のたび被災した幼子や高齢者が悲鳴を上げておびえる被災地の一日も早い復旧のため、再び隊員11人とともに現地に向かった。

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