元プロボクサーや歯科医が子どもの食料支援 フードドライブや子ども食堂運営 食事提供だけでなく相談の場にも【チャント!夏目みな美が取材】

最近広がりつつある“フードドライブ”、ご家庭で食べきれない食品などをフードバンクといった施設を通じて必要な方に届けるという取り組みですが、ある意外な所でも行われているんです。

元「岐阜の番長」がフードドライブ

ちょっと強面。こぶしを握り締めるこの男性、中村祐仕朗さん。
以前は「岐阜の番長」と名乗った元プロボクサー。今はボクシングジムを経営しています。

(夏目キャスター)
「サンドバックの横には、サンドバックのような大きな袋ですけど、これお米ですね。そしてリングの奥にも色々あるんですね」

(夏目キャスター)「この箱が全部支援するための物資なんですね」
(中村祐仕朗さん)「そうですね。数年前からフードドライブ岐阜というものを主催して(支援物資を)集めている」

フードドライブは、家庭で余っている食品などを集め、福祉団体などに提供する活動。

(中村祐仕朗さん)「ベビーフードとか粉ミルクとか」
(夏目キャスター)「こういったのも受け付けているんですか」

(中村祐仕朗さん)「新生児から入所する施設があります。そこではオムツがどれだけあっても足りない。今の物価高でオムツの値段も上がっている状況で、オムツは常になくなるのでほしい」

「どこの家庭も厳しい。年々支援物資が減少傾向」

レトルト食品や缶詰そしてラーメンなど、リングを埋め尽くすほどの支援物資が集まっていました。

(中村祐仕朗さん)
「どこの家庭も厳しい。これだけインフレが続くと、年々(支援物資)が減少傾向にあります。3分の1近くになっている」

物価高騰や不況の中、支援物資の量は減っていますが、わざわざ届けてくれる人も。

(中村祐仕朗さん)「ありがとうございます」

支援物資を持ってきたこちらの男性は、ジムの生徒さん。
何が必要かを聞いた上で、いつも提供してくれるといいます。

(夏目キャスター)「持っていらしたものは、カイロとお餅ですね」

(支援物資を提供した40代男性)「寒くなってきたし正月ももうすぐですし、お餅を食べていただければと思って」

中村さんが集めた支援物資は、地元の養護施設などに無償で提供。その後、母子家庭などに手渡されるといいます。

(中村祐仕朗さん)
「僕自身も母子家庭で生活が厳しい所で育ったので」
「各家庭にひとつをたくさん集めていけば多くの数になる。フードドライブの取り組みはいろいろなところに呼び掛けて、みんなでしていくことで社会全体が良くなっていく」

そして、ボクサーの次は…

歯医者さんが「子ども食堂」を運営!?

【名古屋市中村区】
(夏目キャスター)
「こちら歯医者さんですよね。歯医者さんで子ども食堂やってらっしゃるんですか?」

(かすもり・おしむら歯科 押村憲昭 院長)
「やっています。場所は街に今から出かけていきます」

名古屋の歯科医、押村憲昭さん。診察の後、向かった先は近くの飲食店。

(押村憲昭 院長)「今回はここで(子ども食堂)を開催します」

【名古屋市中村区 CAFE&REST ミナミ】
実は押村さん、3か月に1度ほど地元の飲食店に協力してもらい、子ども食堂を開いています。
1回15万円ほどかかる費用は、押村さんが負担。

大人は300円、子どもたちは無料です。
今日のメニューは、おいしそうなオムライスとハンバーグ。

(押村憲昭 院長)
(子どもに)「『あーん』てして」

食べさせてあげるのかと思ったら…
(押村憲昭 院長)
「上向いてみて。きれいだね。(ご両親で)歯ブラシをしているんですか」

(参加者の父親)
「そうですね。私と妻でいつも(歯ブラシ)しています」

(押村憲昭 院長)
「とても大事なことで、スキンシップのひとつになってきているので、親子関係が良くないと、歯ブラシがうまくできない。良い環境だと思います」
「たくさん食べてね」

子ども食堂が診察の場にも。
歯ブラシをあげて、歯の大切さを子どもたちに伝えています。

歯の状態から子どもたちの家庭環境が見えてくる

(夏目キャスター)「お口を見るとある程度の生活習慣が見えるものですか」

(押村憲昭 院長)「子どもたちの虫歯は今激減しているので(虫歯が)たくさんある子どもに対しては、家庭的な要因というのが非常に多いので、愛情をかけてもらう、そのあたりをアプローチしていかないと、その子どもたちの虫歯は本質的には減らない」

歯の状態からは、子どもの食生活や家庭環境が見えてくるといいます。

この子ども食堂、スタッフにもある特徴が。

Q.お仕事は何を?
(スタッフのみなさん)
「保育士です」「歯科衛生士です」「言語聴覚士です」「単なるスタッフです(笑)」

(スタッフ)
(親子連れの母親に)「お子さんの言葉とか発達とか、日頃の生活面でお困りの事とかもしあればお聞きしたいなと」

言語の発達をサポートする言語聴覚士や保育士、そして栄養管理士などがスタッフになっていて、この場で子育てに関する様々な相談にも乗っています。

「フランクな感じで相談できる機会は助かります」

(夏目キャスター)「いかがですか? こういった取り組みは」

(親子連れの父親)「助かりますよね。歯の事は、自分自身もですけど、相談する機会がないので、フランクな感じで相談できる機会は助かります」

(親子連れの母親)「子どもが3人いて食費もかかり、物価高でお金の心配とか考えると、とても助かります」

この10年で7000か所にも増えている子ども食堂。
善意やボランティアに頼っている形ですが、本来、国や行政による根本的な貧困対策が必要であることはいうまでもありません。

2023年12月22日放送 CBCテレビ「チャント!」より

© CBCテレビ