三原直之新ブランド始動!『ど真ん中の釣れるルアー』というコンセプトに込められた三原の思い

脱トーナメンターとして生きていく三原直之が向かう先は、スポンサーワークも含めた、一般アングラーのためのルアー&タックル造り。そのコンセプトはズバリ『ど真ん中の釣れるルアー』。ある意味漠然とした言葉だが、三原の頭の中にはその明確な概念が描かれていた。

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●文:ルアマガプラス編集部

東条湖をホームレイクとするバスプロ。トップやクランクを軸として魚を探し、サイトやビッグベイトなどで食わせるというスタイルが魅力だ。JBで13勝していて、2015年、2019年にはJBのクラシックを制覇と華々しい記録を持つが、2023年を持ってトーナメント引退を宣言した。

その名も「WAZAMONO(ワザモノ)」

ワザモノとは業物(わざもの)。業良き物(わざよきもの)を意味する言葉で、本来は切れ味のいい日本刀のことを指す。そこから業=技(技術)のいい物、本当に釣れる物を作り出そうというブランドコンセプトに繋がっている。

三原「釣り業界でプロとして、これから10年20年メシを食っていこうとすれば、やるべきことは明白でした。ルアーやタックルを自分のブランドで作っていきます」

三原はイマカツ内に独自ブランドを設立する。それがワザモノだ。いったいどんな製品を作っていく予定なのだろうか。
三原「なるべくど真ん中に投げたいんですよ。クランクベイトやスピナーベイトを作るにしても、端っこは習わずにド真ん中ストライクを投げたいんです」
ド真ん中というのはそのジャンルの王道、スタンダードという意味。
三原「いいルアーだと、ルアーから釣りを教えてもらうってことがあるんです。最近はバス業界がどんどんガラパゴス化してきていて、なんか最先端取り入れたモノ勝ちみたいな状況になってきています。三原虫みたいな特殊なものを作っておいて言うのもなんですが、あれはトーナメントで釣り勝つために作ったもので、三原虫を使えば釣れるでしょうけど、釣りがうまくなるとは思えない。考え方も特殊なものになってしまいます。でもバスフィッシングってそんな尖ったものだけではなく、本物のド真ん中ストライクの製品は、常に通用すると思うんです。バスの本能は消えることがなく、ストライクの製品はその本能を必ず掻き立てる。プレッシャーで一時的に本能を抑え込んでるかもしれないけど、それが解き放たれるタイミングではストライクのルアーが力を発揮するんです。トーナメントをやっているとなかなかこんな思考にならないけど、僕自身がトーナメントのプレッシャーから解放されたから、スタンダードの重要性をより認識するようになったんです」
確かに近年のルアーは日本の今のバスに最適化され、王道と呼べる製品はあまりないように思える。日本のバスフィッシングは一周回って原点回帰に近づいている、という声も聞かれるようになった。

三原直之がこれまでに手掛けた主なルアー。右下の三原虫は発売後8年が経過するが、未だに売れ続けているベストセラー。ビッグベラーはシェード直下のビッグバスという特殊方向に振り切った作品。左下のフラシュリンプは陸っぱりスタンダードとして開発した万能ノーシンカーワーム。

初心者にも使えるルアー

三原「スタンダードと言われているルアーで50アップを狙って釣ろうとすると、逆に難しくて、それが面白かったりするんですよね。バス釣りの原点というか、そういう感覚をベテランにも思い出してほしいし、初心者にバス釣りを覚えてもらうために勧められるルアー、それがスタンダードという概念だと思うんです」
発売後20年、30年経っても色褪せていないルアーがスタンダードであり、ド真ん中ストレートのルアー。三原の構想は息が長い。
三原「今はみんなが新しいものを探し回っている時代。あまりに新しいものを狙いすぎたルアーで釣っても、ルアーの本質を理解しにくいと思う。バス釣りを始めて5年までの人たちの手にとってもらえる、バス釣りの入り口となるルアーを造りたいんです」

ビッグフィッシュ路線も

三原「実はド真ん中だけでなく、ビッグフィッシュを狙う別路線も考えているんです。トーナメントでも取材でも常に55センチ以上を狙ってきた僕としては外せない路線で、こちらは特殊な能力を持った尖った製品になる予定です」
ちなみに次回紹介するギルロイド型ルアーはビッグフィッシュ路線、スピナーベイトはスタンダードシリーズとなる。
三原「ビッグフィッシュを狙って釣るルアーというのは、ギルロイドにしてもウナジュウ(イールクローラー10インチ)にしても、やはり特殊な性能、特殊な見た目を持つ必要があります。それはやはりスタンダードでは括れない。なのでスタンダード路線とビッグフィッシュ路線の、明確な2系統でルアータックル開発を行っていきます」


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