SNSに集結した個人投資家たちが全米を揺るがす社会現象を巻き起こした事件、通称“ゲームストップ株騒動”をベースにした映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』が2024年2月2日(金)より全国公開となる。
このたび、現代社会の極端な経済格差やSNS時代のカネをめぐる狂騒を捉えた本作で、実在の“ある人物”を演じたセス・ローゲンからコメントが到着した。
“株取引を煽った”人々の驚きの実話
新型コロナウイルスによるパンデミックの渦中だった2021年初頭、アメリカの金融マーケットが激震する前代未聞の大事件が発生した。ネット掲示板に集った小口の個人投資家たちが、倒産間近と囁かれていた<ゲームストップ社>の株を買いまくり、同社を空売り(※)していたヘッジファンドに大損害を与えるといった反乱劇をやってのけたのだ。
当時、ゲームストップ株に全財産を投じたごく平凡な会社員キース・ギルに焦点を当て、事件の驚くべき内幕を描き出す本作。ゲームストップ社の価値を真摯に訴え続けたキースと、彼の主張に共感して夢を追い求めた人々の人間模様が、破格のサプライズとユーモア満載で繰り広げられていく。
※空売り:保有していない株式を借りて売ること(下落を予想して売り、のちに買い戻すことで利益を得る)。
そんな本作でゲームストップ株に群がる庶民の“ダム・マネー(愚かなカネ)”を根こそぎ巻き上げようとしたヘッジファンドの億万長者、ゲイブ・プロトキンを演じるのがセス・ローゲンだ。
『ドニー・ダーコ』(01)で映画デビューの後、『40歳の童貞男』(05)や『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』(07)、『スモーキング・ハイ』(08)などのコメディ作品で存在感を高めたセス。その後、『カンフー・パンダ』シリーズや『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(23)での声優業、また『スティーブ・ジョブズ』(15)や『フェイブルマンズ』(23)といった重厚なドラマ作品まで幅広いジャンルの作品に出演してきた彼が、本作の役作りについて語った。
「組織や企業の崩壊、人々の失敗によって何億ドルも稼いでいる男」
億万長者のゲイブは観客が“敵”とみなす役柄だが、セスは「人間味のあるキャラクターを作り上げていくことができるので、こういう役を演じるのは面白いです」と俳優としての自負を語る。
ただ一方で、「このような人物に深みを持たせすぎないようにもしています。彼らにもいくつか同情すべき点もあるでしょうが、グローバル的あるいは道徳的に深く物事を考える人たちではない、と私は思っています。そこに彼らの欠点があると思います。映画では、ゲイブ・プロトキンは普通の家庭の男ですが、組織や企業の崩壊、人々の失敗によって何億ドルも稼いでいるんです」と現代社会の問題にも触れた。
また本作の監督を務めたクレイグ・ギレスピーは、ディズニープラスで配信中のドラマシリーズ『パム&トミー』(22)でセスとタッグを組んだ経験があり、「セスが大好きなんだ!」と彼への愛情を隠さない。
『パム&トミー』で一緒に仕事ができたのは素晴らしかったし、チャンスがある限り彼と仕事をしたいと思っているよ。奇妙なことに、この脚本を手にしたとき、『パム&トミー』での多層的な演技から、このゲイブというキャラクターを彼と一緒に作り上げられると感じたんだ。
脚本を彼に送ったら、とても気に入ってくれた。そして彼はすぐに参加してくれた。僕は感激したよ。彼は終始、人間味あふれる演技を見せてくれた。カメラの外ではあんなに好感の持てる人が、映画の中では敵役になると、観客にとっては面白いと思うんだ。
そんなセス・ローゲンは今年の出演作として、全世界で大ヒットした超実写版『ライオン・キング』(19)の前日譚『Mufasa: The Lion King(原題)』も控えている。低予算コメディでキャリアを築き、あらゆるジャンルで引っ張りだこの俳優としてプロデューサー業にも乗り出した20代後半~30代。そして脂が乗りきった今、この『ダム・マネー ウォール街を狙え!』を含め、セスのさらなる活躍に期待したいところだ。
『ダム・マネー ウォール街を狙え!』は2024年2月2日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー