「バスケの聖地」沖縄アリーナ、予測より大幅に早く来場100万人突破 動員を支える3本柱とは? 課題は渋滞

[リポート’24 沖縄発]

 プロバスケットボール琉球ゴールデンキングスのホームアリーナ「沖縄アリーナ」の来場者が昨年12月29日に100万人を突破した。2021年4月の開業以降、2年と262日で達成した。当初計画では3年間で105万人の来場が予測されたが、新型コロナの流行下でオープンするという不安材料もはねのけ、需要予測を大きく上回った。キングスのホーム戦や音楽イベント、自主事業の3本柱が動員を支える。一方、交通渋滞対策は最大課題で、沖縄アリーナ社も地域と協同で効果的な対策を模索する。(中部報道部・砂川孫優)

 キングスが本拠地を構える沖縄市に誕生した沖縄アリーナ。収容人数とイベントフロアの面積は、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターの約2倍。最大収容人数は1万人(バスケットボールなどスポーツ利用は8千人)で、県内最大規模の多目的施設となっている。

■W杯で「聖地化」

 開業初年度の21年度は当初計画の来場者約35万人に対し、コロナの影響による入場制限や自主休館などで約17万人に留まった。だが2年目の22年度からはキングスのホーム戦や音楽イベント、自主事業などで約42万人、3年目の23年度は約57万人を見込み、右肩上がりに推移している。

 来場者数の割合は、キングス戦が約57万人で最多。次いでコンサートイベント(MICE関連含む)が約22万人、バレーボール日本代表戦や格闘技などのその他スポーツイベントで約21万人。24年8月にはバスケW杯の会場となり、男子日本代表が48年ぶりに自力での五輪出場を決めたことで、バスケファンから「バスケの聖地」として人気を確立した。24年度は57万人超えも視野に入れている。

 沖縄への訪日観光客の受け入れも徐々に回復する中、東アジアの企業を誘致したMICEイベントの開催など、観光面でもアリーナを核として周辺地域に波及効果をもたらすことを狙う。

■二次的な混雑も

 一方、イベント開催時の交通渋滞は大きな問題となっている。

 近隣の大型施設などからシャトルバスを運行させて対応しているが解消には至っていない。北谷町では、美浜にある無料の町営駐車場の稼働率が高くなり、アメリカンビレッジなど商業施設利用者が駐車できない二次的な混雑も発生している。周辺事業者からは、駐車場の有料化や階層化を求める声も強まり始めた。

 来場者100万人突破に合わせた記者会見で沖縄アリーナの片野竜三取締役は、ホームゲームや大型イベント以外の自主興行で施設を有効活用する取り組みが地方アリーナを運営する上で重要な鍵になると強調した。

 その一方で交通渋滞は「永遠の課題」と指摘する。「24年には沖縄市がアリーナ近くに駐車場を整備するので改善に期待している。住民とも向き合いながら、問題解決に継続して取り組んでいきたい」と述べ、地域と連携して取り組む考えを示した。

琉球ゴールデンキングスのホームアリーナ「沖縄アリーナ」=2022年4月、沖縄市
来場者が100万人を突破し、インタビューに答える片野竜三取締役=2023年12月29日、沖縄市

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