琉球バス交通と那覇バス(小川吾吉社長)は10日、路線バス運賃の上限額引き上げを沖縄総合事務局長に申請したと発表した。両社とも那覇市外を走る「市外線」の初乗り運賃を現行の160円から30円引き上げ、190円とする予定。那覇バスの那覇市内のみを走る「市内線」の運賃は240円から20円引き上げの260円とする。燃料費の高騰などが要因。申請は昨年12月28日付で、運賃改定の実施予定日は4月1日。3月をめどに沖縄総合事務局長が認可するかどうかを判断する。(政経部・銘苅一哲、大城大輔)
認可されれば、申請の上限額内で運賃を設定する。改定は2008年12月以来、約15年ぶりとなる。
通勤の定期では、琉球バスが1カ月6720円の区間を1260円増の7980円。那覇バスが同8400円の区間を700円増の9100円とする予定。
通学の定期では、子育て世帯の負担を考慮して、割引率を通常運賃の約4割から5割に引き上げ。琉球バスが1カ月5660円の区間を5700円に、那覇バスが同7200円の区間を6500円とする。現行と同等か値下げとなる。
改定後の運賃は現時点の予定で、認可後に改めて公表するという。
両社の収支は2021年度で5億円超の赤字。運賃改定で改善を図る。両社は燃料費などの価格高騰や、乗務員の労働条件改善などに対応する必要があるとして、理解を求めている。
沖縄総合事務局の担当部局は県外でも運賃改定の申請、認可の動きが進んでいるとした上で「審査では申請された運賃原価や収入をチェックし、適正かどうかを判断する」としている。
総合事務局公表の運輸要覧によると、23年3月末時点の県内一般乗り合い旅客自動車は琉球バスが253台、那覇バスが166台と2社で県内833台の約5割を占める。系統数では全体の約4割にあたる86系統を2社で運行している。