「凍みこんにゃく」作り最盛期 冬の寒暖差を利用、伝統食品 茨城・大子

凍みこんにゃく作りに励む従業員=大子町袋田

奥久慈地方の冬の寒暖差を生かし、伝統の健康保存食品「凍(し)みこんにゃく」作りが、茨城県大子町で最盛期を迎えている。

気温がマイナス6度まで冷え込んだ10日朝、同町袋田の袋田食品(高村博美社長)では、従業員9人が薄く切ったこんにゃく5600枚を、地表に敷かれたわらの上に並べる作業に追われた。通常は12月に作業を始めるが、今季は暖冬で、1月4日から作り始めた。

凍みこんにゃくは「寒い割に雪が少なく、昼夜の寒暖の差が大きい」という特有の気候を生かした食材。夜間にこんにゃくを凍らせ、日中に天日干しして解凍する。水を5回程度まいて湿度を保ち、繊維を残す。さらに裏返して同じ作業を繰り返し、3週間から約1カ月で完成する。

江戸時代に丹波地方から同県常陸太田市天下野町(旧水府村)に伝わり、周辺地域に広まったとされる。現在、大子町では2社が作るのみとなった。

袋田食品の浅見義美工場長(54)は「凍みこんにゃくは、普通のこんにゃくとは食感が違い、いろんな味わい方が楽しめる。1月からの作業となったが、7万枚を目標に作りたい」と話した。

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