原告側、供託金の差し押さえ申請 日立造船敗訴の徴用工訴訟、韓国

韓国最高裁=ソウル(共同)

 【ソウル共同】韓国最高裁で日立造船の敗訴が確定した元徴用工訴訟で、原告側は10日、同社が裁判所に預けていた供託金の差し押さえを申請した。原告側弁護士が11日、明らかにした。日立造船が韓国国内の資産の差し押さえなど強制執行を防ぐために供託したもので、返還を求めて対抗する可能性がある。

 原告側への賠償金として供託金の受け取りが認められれば、一連の元徴用工訴訟で敗訴した日本企業の資金が原告側に渡る初めての事例となる。

 日立造船との訴訟で、元徴用工は日本統治期に強制労働をさせられたと主張。韓国最高裁は昨年12月、日立造船に元徴用工1人への5千万ウォン(約540万円)の賠償支払いを命じた。元徴用工は係争中に死亡し、遺族が訴訟を引き継いだ。原告側弁護士によると、同社は二審判決後の2019年、6千万ウォンを裁判所へ供託した。

 遅延損害金を含めると差し押さえた供託金では不足するため、原告側弁護士は韓国政府が昨年3月に発表した解決策に基づき、政府傘下の財団から残りを受け取りたいとの意向を示した。

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