ラクスは初めて会った瞬間からキラに惹かれていた――福田監督から新事実も明かされた「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」完成報告会見レポート

劇場アニメ「機動戦士ガンダム SEED FREEDOM」は、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の2年後のC.E.(コズミック・イラ)75年を描く、「ガンダムSEED」シリーズ待望の新作劇場アニメーション作品だ。

その完成を記念して行われた今回のイベントは、保志総一朗さん(キラ・ヤマト役)、田中理恵さん(ラクス・クライン役)、鈴村健一さん(シン・アスカ役)、下野紘さん(オルフェ・ラム・タオ役)、森崎ウィンさん(グリフィン・アルバレスト役)、主題歌を担当する西川貴教さん、監督の福田己津央氏、プロデューサーの仲寿和氏の8名が登壇して行われた。

なお、本イベントではエンディングテーマであるSee-Saw「去り際のロマンティクス」のMV(Short Ver.)なども発表された。新情報は以下の記事にまとめているので、こちらもぜひチェックしてほしい。

■「アスランたらし」のキラは「SEED FREEDOM」で痛い目を見る!?

登壇したメンバーがそれぞれ挨拶する中、監督を務める福田氏は本作について「この20年間、本当にいろいろなことがありました」と感慨深げに語りつつ、「僕はもう7、8回は見ましたから大丈夫です。私でもいけるんだから、皆さんは20回くらいはいけると思います」と、本作の出来栄えに自信を覗かせる。

その後は、福田氏が「ガンダムSEED」シリーズの見どころとして選んだいくつかのポイントに沿ったテーマに、出演陣がコメントする形でイベントは進行する。

最初の「ナチュラルとコーディネイター」のテーマでは、「SEED」序盤のアークエンジェルに保護されたラクス・クラインを毛嫌いするフレイ・アルスターのシーンが映し出される。

福田氏によると、このシーンは差別意識のないラクスと、口では差別を否定しながら内心では激しい差別意識を持っているフレイの対比を表現しているという。そのラクスを演じる田中さんは「最初はふわふわとしていて、掴みどころのないキャラクターと思っていました。そこから『DESTINY』ではデュランダルと対峙していたり、凛とした印象になっていきました」とラクスへの印象の変化を語る。

また福田氏は、「SEED FREEDOM」のラクスについて、「人間らしさや普通の女の子らしさを演出したい」という意図を事前に田中さんにも伝えていたそう。田中さんも「NOの時ははっきりとNOと口にする」劇場版のラクスならではのポイントを挙げ、「SEED」とも「DESTINY」とも違うラクスを演じたと語る。

第2のテーマとなったキラとアスランの関係については、「近いようで遠い二人。僕はあまり仲がいいとは思ってなくて、キラがいつも我を通して、アスランが面倒を見ている」と指摘する福田氏。保志さんが「(アスランに)めっちゃ甘えていたところはありますよね」と同意すると、さらに福田氏は「“アスランたらし”なんですよ。劇場版で痛い目を見ればいい」と、これまで甘えてきたアスランから痛い目にあわされることを示唆するような発言も。

一方保志さんは、「アフレコをやっていた時は、キラと同じように毎週悩みながらやっていて、アスランと敵対しているのがすごく嫌で。また友達に戻りたいと思いながら毎週演じていました」と、二人の関係性への想いを明かす。

ただし、気になる「SEED FREEDOM」でのアスランとの関係については、「劇場版の台本の中で、一瞬アスランの存在を忘れたことがあった」と漏らすと、周囲のキャスト陣は大爆笑。すぐさま下野さんから「今結構(ネタバレ)スレスレのラインをいってますよ!」とツッコミを入れられ、「ちょっとこれ以上はやめておきます」と、急遽話をストップする一幕も見られた。

第3のテーマは、劇場版の主役コンビとも言えるキラとラクスについて。“二人の関係性は愛なのか?”が話題に上がると「愛といっていいのか。愛というよりは、一緒に戦う“同志”の方が近いかも」と話す田中さん。

一方で福田氏は、アスランの婚約者だったラクスがキラに惹かれるようになったタイミングについて「心が通い合うという意味では、キラと初めて出会った8話の時点でもう大好きになってます」とした上で、「アスランとラクスの関係は、ちょっとしたリアクションで表現していて、11話にラクスの差し伸べた手をアスランがすっと避けたんです。あのプライドの高さを見て、“この男何?“と思ったりしていた。ラクスって結構黒いところがあるので」と衝撃の事実を明かす。これにはそのシーンを演じていた田中さんも含め、出演者の全員が度肝を抜かれていた様子だった。

第4のテーマとなった「DESTINY」の主人公であるシン・アスカについては、福田氏は「1話のサブタイトルを“怒れる瞳”にしたのもあって、怒りの子みたいなイメージを抱かれているんですけど、実はそうじゃない。決して復讐の鬼ではなくて、根は素直でかわいい子」とシンのキャラクターの本質を解説。劇場版では、そんなシンの本来の可愛らしさや強さを表現してみないかという提案を鈴村さんにしたという。

その鈴村さんは「『DESTINY』をオンエアしていた時はそういう(素直でかわいい)部分がなかなか出てこなかったので、理解するのが難しいなと」と劇場版での役作りの苦労を明かしつつも、戦争に巻き込まれた普通の人間であるシンが、一つの答えにたどり着くことができたとも感じているのだとか。

また、鈴村さん、福田氏の両方から「シンは劇場版で活躍する」ことも明言され、ファンの期待を一層膨らませていた。

■映画の中には「SEED」ファンが見たいものが全部入っている

すでに完成した作品を鑑賞したというキャスト陣に、作品の感想を聞くコーナーでは、「いやぁ、見ちゃいました」「完成してる! と思った」なと、ネタバレを恐れるあまり抽象的な感想ばかりを口にしていた保志さんに対し、「小学生の感想みたい」「内容が薄い」と出演陣から手厳しいツッコミが飛び、すっかり保志さんはタジタジに。

その後を受けた鈴村さんは、「DESTINY」の出演が決まってから「SEED」を3日で全話見終えるくらいハマっていたこと、劇場版はそれと同じくらい没頭して見れたというエピソードも明かしつつ、「『SEED』の全部が入っている。『SEED』も『DESTINY』も見ている人たちは、ここよねとか、あれやってくれるんだ、とか全部入ってます」と劇場版についてコメント。ファンにとって大満足できる内容となっていることに太鼓判をおしていた。

また、トークの最中には福田氏の口から、「SEED」中盤にアークエンジェルを降りたカズイ・バスカークが、ワンカットのみ劇場版に登場する新情報も明らかに。ただ、TVシリーズより大人になってカズイの雰囲気が変わっているのもあり、福田氏は最初「誰だ?」と感じたのだとか。またカズイ以外にも、これまでのシリーズキャラクターたちがいろいろなところに登場する遊びが仕組まれているとのことだ。

音楽についてのトークでは、小室哲哉さんと共に主題歌「FREEDOM」を担当する西川さんが、「本当にいろいろなことを考えました。お待たせしたファンの皆様はもちろん、本作をきっかけに『SEED』シリーズを観るような出会いになってもらえればという想いを込めて、今届けるべきものは何かを考えました。当時見た世代の方のお子さんをお持ちのお父さんお母さんたちに、久しぶりに劇場に足を運んでいただける機会になるかもしれない。そうした昭和とか平成とか令和といった世代を超越した楽曲を、小室さんと共に届けられたらと思っています」と、楽曲に込めた熱い想いを語る。

エンディングテーマ「去り際のロマンティクス」を担当するSee-Saw(石川智晶さん、梶浦由記さん)の二人からの手紙が読み上げられる一幕もあり、福田氏から「石川さんがこれまでの人生の中で感じられたものを書いてくれればいい」とオーダーされたというエピソードも明かされていた。

最後には、保志さんが「いろんな方が大変な思いをして、いろんな方が待ち続けた『SEED FREEDOM』がついに完成しました。何より僕自身が待ち望んでいて、ようやくこの目で観ることができた喜びと、早く皆さんにみてもらいたい2つの想いがあります。キラやラクス、アスランたちだけではなく、新しいキャラもたくさん登場して、すごくいろいろなドラマが詰まっています。観終わった後、『SEED』の世界はどうなっていくんだろうと想いを馳せてもらえれば嬉しいです」と公開を待ちわびるファンにメッセージを送り、イベントを締めくくった。

■公式サイト
https://www.gundam-seed.net/freedom/

■公式SNS
X(旧Twitter):https://twitter.com/SEED_HDRP
TikTok:https://www.tiktok.com/@seed_freedom_official
【期間限定OPEN!】※2024.3.31(日)23:59まで

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