栃木県内15市町、50年に高齢化率4割超 東部で顕著、地域差拡大 社会経済維持課題に 厚労省推計

県内25市町の人口と高齢化率の将来推計

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口で、2050年に栃木県内25市町のうち15市町で、人口の4割超が65歳以上の高齢者になると予測されたことが10日までに分かった。県東部を中心とする1市5町では5割を超える見通し。高齢化が加速する地域では15~64歳の「生産年齢人口」の減少幅も大きく、地域の社会経済をどう維持していくかが課題となる。

 同研究所は20年国勢調査などを基に、25~50年の市区町村別の推計人口を5年刻みで算出した。

 推計によると、本県の65歳以上が占める割合(高齢化率)は50年には39.6%となり、20年比で10.5ポイント上昇する。

 高齢化は全市町で加速するが、特に深刻と予測されたのが県東や県北部の中山間地域だ。50年の高齢化率が最も高いのは茂木町で61.8%。塩谷町が60.7%、那珂川町が59.4%、那須烏山市が57.1%、那須町が54.3%、益子町が50.6%と見通された。

 このうち茂木と塩谷、那珂川の3町では人口規模も20年の半分未満となる。那須烏山と日光の2市も4割減。これら市町では経済活動の中心となる生産年齢人口が全体の3~4割にまで落ち込む見通しで、税収や経済の大幅な縮小が避けられない状況になる。

 一方、JR宇都宮線や東北新幹線の駅を抱える市町の高齢化は比較的緩やかに進む見込みで、50年の高齢化率は小山市35.2%、さくら市35.3%、宇都宮市36.1%、高根沢町37.8%などと試算された。これらの市町は人口減少率も1~2割台と低い傾向にあり、中山間地域との格差はさらに広がる見通しだ。

 同推計が示した50年の県全体の人口構成は、県の19年時点の将来予測とほぼ重なる。人口減克服に向け県は昨年8月に少子化対策の緊急プロジェクトを策定したほか、県東部の首長らは地域の幹線道路「つくば・八溝縦貫・白河道路」の早期実現を国に求めるなどしている。

 福田富一(ふくだとみかず)知事は「新年度予算で緊急プロジェクトの第2弾をまとめている。事業を通じて合計特殊出生率を回復させたい」としている。

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