6歳で1型糖尿病と判明した娘 「甘いものを食べさせすぎたんでしょ」心無い言葉に葛藤した親がSNSで発信する理由とは

糖尿病といっても1型糖尿病や2型糖尿病、妊娠糖尿病などがあり、その原因や治療法などは異なります。

セツコ(@type1life_setsuko)さんの娘さんは、1型糖尿病です。Instagramでは、娘さんとの暮らしや1型糖尿病などについて発信しています。

学校を早退しての通院(@type1life_setsukoさんより提供)

1型糖尿病とは

今回は、セツコさんに娘さんについて話を聞きました。

ー娘さんは1型糖尿病とのことですが、この病気はどのような病気なのでしょうか。症状や治療法について教えてください。
1型糖尿病とは、膵臓にあるインスリンを出す細胞が壊されてしまうことで、インスリンが出なくなってしまう病気です。食事をしても、インスリンが分泌されないため高血糖になってしまうので、インスリンの注射などが必要になります。
現段階では不治の病ですが、さまざまな研究が進んでいるので、いつか完治する日が来るのでは?と期待しています。

食事の際の注射(@type1life_setsukoさんより提供)

ー娘さんが1型糖尿病だと分かったのはいつごろでしょうか?
1型糖尿病だと分かったのは、小学校入学前の6歳のときです。保育園での尿検査で判明しました。
娘の父親が1型糖尿病だったこともあり、家には血糖値測定器などがあったため、すぐに血糖値を測定したところ300を超える高血糖で、その時に1型糖尿病だなとすぐにわかりました。 その後すぐに入院をして、インスリンを注射する練習などが始まりました。

ーそのときのお気持ちをお母様と娘さんのお2人からお伺いさせていただきたいです。
当時はとにかく涙が止まりませんでした。一生注射をし続けなければいけないことと、代わってあげられないことが辛くてしょうがなかったです。
本人は「パパがやっていること(注射)をすればいいんだよね?」というように、あまり重くは受け止めておらず…前向きな姿に励まされました。

生活上気を付けること

ー生活において気を付けていることはありますか?
何よりも、低血糖が怖いので(低血糖になるとひどい時には意識を失ってしまいそのまま命を落としてしまうこともあります) 外出するときには常にブドウ糖を持っています。バッグの中だけではなく、車の中、ランドセルの中、学校の引き出しの中、保健室にも保管してもらっています。
体育の時間などは、事前に血糖値をチェックして、低くなりそうなときは補食をして授業を受けるようにしています。また、寝ている時の低血糖も怖いので、夜中に何度も血糖値をチェックすることもあります。

1型糖尿病についての発信

ーこの投稿のように、1型糖尿病について発信しようと思ったきっかけがあれば教えてください。
何気なく1型の投稿をしたところ、思った以上に反響がありました。「励まされた」「1型があることを知らなかったので知れてよかった」などのコメントを見て、娘と「もっと私たちも発信をしていって、1人でも多くの人にこの病気のことを知ってもらえたら嬉しいよね」と話し合って発信することにしました。

ー同じ病気の方からも多くの反響があるようですが、発信を始めてからなにか変化はありましたか?
1型糖尿病の方から「元気をもらえました」と言われることが増えて、娘もとても喜んでいます。その他、1型糖尿病のイベントなどにも呼んでいただけることがあったりと、1型のことを広めるきっかけが増えてきたので良かったと思います。

1型糖尿病への理解のために

ー1型糖尿病への理解のために教職員研修充実要請書を提出していましたが、どういった思いで提出されたのでしょうか?
教職員の方の言葉にはとても重みがあると思っています。栄養指導などで「甘いものを食べすぎると糖尿病になって足を切らないといけなくなる」などと指導があった場合、子どもたちはその言葉を鵜呑みにします。その時に、クラスに1型の子がいたらひどく傷ついてしまうと思います。
これは実際に娘が体験したことで、まずは教職員の方に1型糖尿病という病気があることを認識してもらおうと思いました。もちろん、その他にも多くの保護者から「学校によって1型糖尿病に対する対応がまったく違う」という声が上がっていたので、要望書を提出することから始めようと思いました。
ある学校では修学旅行に問題なく行けたけれど、他の学校では保護者同伴でないといけないと言われた…などの差を無くし、1型の子どもたちの学びの機会や成長の機会を守りたいと思いました。

これまで困難だったこと

ー理解がないことでどんな困難がいままでありましたか?
やはり何よりも、生活習慣病だと思われることが圧倒的に多かったです。「甘いものを食べすぎたから糖尿病になった」と娘は言われてしまい、私は「あなたが甘いものを食べさせすぎたんでしょ?」と言われることもありました。

ー投稿では明るく発信されていることが多いですが、困難なことや大変なことを、どのように今まで乗り越えてきましたか?
基本的に我が家は全員とにかく愉快なので…(笑)。深く悩むことはない…というか引きずらないようにしています。もちろん発症したての時は、私もずっと涙が止まらないくらい落ち込んでいましたが 今では日常の一部に1型糖尿病がある、という感じです。それは色々と経験してきたことで心にゆとりができたのかな…と思います。そのため今は無理をせずあくまでも娘の「日常」を切り取って発信をしています。1人でも多くの人に元気になってもらう、それが私たちの元気の源にもなりますし、乗り越えていく力になっています。

通院の後のお買い物(@type1life_setsukoさんより提供)

ーこの病気が身近ではない人に、伝えたいことはありますか?
まずはとにかく、生活習慣病ではないということを理解してもらえるだけでもとても嬉しく思います。

糖尿病という言葉は聞いたことがあっても、1型糖尿病について詳しく知っているという人は少ないかもしれません。セツコさんと娘さんの発信によって、1型糖尿病への理解が深まるといいです。

ほ・とせなNEWS編集部

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