韓国研究陣、"0.6秒以内"超高速水素漏れ検知センサーを開発

環境にやさしい水素自動車、充電所などの普及が増加するにつれて、迅速な水素漏れ検知など安全と直結したセンサーの重要性が高まっているなか、韓国の研究陣が米国エネルギー庁の基準性能を満たす世界初の水素センサーを開発した。

韓国科学技術院(KAIST)は10日、電気・電子工学部のチョ・ミンスン博士が現代自動車基礎素材研究センターの電磁エネルギー素材研究チーム、釜山大学のソン・サムホ教授と共に検出速度0.6秒以内の次世代水素センサーを開発したと明らかにした。

既存の水素センサーは、水素センサーに多く活用されるパラジウム(palladium, Pd)素材に触媒処理をしたり、合金を作ったりするなど、主に検出素材だけに集中し、特定の性能指標では非常に優れた性能を示すが、すべての性能指標を満たせず、商用化に限界があった。

共同研究チームは、純粋なパラジウム物質をベースに独自のマイクロ・ナノ構造設計及び工程技術を融合し、すべての性能指標を満足するセンサーを開発した。

水素センサーとスマートフォンアプリによるリアルタイム水素検知及び性能確認結果/KAIST提供

量産を考慮して合成素材ではなく、物質的な制約が少ない純粋な金属素材を活用し、半導体一括工程に基づいて大量生産を可能にした。

研究チームは、ヒーター-絶縁層-感知物質の垂直積層構造の既存のセンサーが持つ不均一な温度分布を克服するために、ヒーターと感知物質が同一平面上に並んで集積された差別的な空面(Coplanar)構造を適用した。

検出物質であるパラジウムナノ材料を完全に空気中に露出し、水素との反応面積を最大化し、速い反応速度を確保した。

研究チームは、Bluetoothモジュールとパッケージ化し、無線で1秒以内に水素漏れを検知する統合モジュールを製作して性能を検証した。

既存の高性能光学式水素センサーとは異なり、携帯性が高く、水素エネルギーが普及する様々な場所に適用できると期待される。

研究チームは現在、現代自動車と一緒に素子をウェハースケールで製作した後、車両用モジュールに搭載し、検出および耐久性能をさらに検証している。

今回の研究成果は国際学術誌「ACSナノ(Nano)」に掲載され、米国、韓国などに3件の特許が出願された。

※論文名:Ultrafast (∼0.6 s), Robust, and Highly Linear Hydrogen Detection up to 10% Using Fully Suspended Pure Pd Nanowire). (Impact Factor: 18.087).
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