アニメ『俺だけレベルアップな件』ついに放送開始!続きが気になる“絶望ラスト”に視聴者興奮

アニメ『俺だけレベルアップな件』第1話が1月6日(土)よる12時から放送された。本作は韓国の大人気小説・漫画作品のアニメ化で、異次元と現世界を結ぶ通路【ゲート】が存在する世界の物語。【ハンター】と呼ばれる特殊能力を持つ人間たちの過酷な戦いを描く。日本でもマンガ・ノベルサービス「ピッコマ」にて累計PV数6.5億回を突破しており、本作のアニメーションを『マッシュル-MASHLE-』『リコリス・リコイル』など人気作を手掛けてきた『A-1 Pictures』が制作していることや、劇中の音楽を『進撃の巨人』『機動戦士ガンダムUC』などで知られる作曲家・澤野弘之が担当していることでも話題。アニメ第1話を見た視聴者からはさっそく「秒で終わった」「早く2話観たい!」など称賛の声が飛んでいる。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

“人類最弱兵器”

高層ビルが立ち並ぶ都市の一角に、人が簡単に出入りできないよう囲いがされた“工事現場のような場所”があった。その中心には、青白く光るモヤのような渦(うず)のようなものが浮かんでいる。人々はそれを【ゲート】と呼んでいた。

……今から十数年前、突如として出現したゲートは異次元とこちらの世界を結ぶ“通路”だった。ゲートの奥には異形の怪物【モンスター】が存在し、こちらに牙をむく。だが銃火器などの通常兵器は全く効果がなく、【ハンター】と呼ばれる“能力に覚醒した者”だけが戦うことができた。ある者は炎の塊で、またある者は雷(いかづち)の束で敵の軍勢を一掃した……。

この日、ゲートの周りにはすでに何人ものハンターが集まっていた。その中の一人に、移動販売車の店員が声をかける。「今日のレイドも頑張ってください」。【レイド】とは、ゲートの中に広がる【ダンジョン】を攻略するハンター専用任務のこと。その主な目的はダンジョンから得られる“特別な物資”だ。特に倒したモンスターから出てくる真っ白な結晶体【魔法石】は、水力・風力・地熱よりも効率がよく火力のように大気を汚すこともない“理想的なクリーンエネルギー”の源として注目されており、とにかく“金(かね)”になった。

ふと、ハンターたちがざわつき始める。彼らの視線の先には、パーカーにジーンズ姿の痩せた青年が一人。「水篠(みずしの)くん」と呼ばれるその青年は、周りのハンターたちに頭を下げながら申し訳なさそうにゲートの近くへとやってきた。……よく見ると、体のいたるところに治療のあとが見られる。彼の名は【水篠旬(みずしの・しゅん)】。周囲から【人類最弱兵器】と呼ばれるハンターだ。

本作の主人公・水篠旬

ハンターは体内に有する魔力量によって、その“ランク”が分けられる。最高のS級からA、Bとくだっていき、最も低いのがE級。レイドで訪れるダンジョンにも、その危険度に応じて同様のランクが振り分けられている。水篠旬はもちろんE級のハンターだが、その中でも特に弱かった。そして残酷なことに、一度覚醒したものは本人がどれだけ努力しようとも、その能力が成長することはないとされていた……。

水篠はこの日、自身のレベルより少し上の【D級ダンジョン】に挑戦することに。レイド参加者は自分を含め13人。ベテランのハンターたちが次々とゲートをくぐっていく。その悠々とした背中を眺めていた水篠は、ふと手元に視線を落とす。「ほんの少ししか魔力の込められてないナイフ……。俺の収入じゃ、これを買うのが精一杯だったけど、ないよりマシ……」。刃渡り20センチほどのナイフ。それだけが水篠の武器だった。

倒したモンスターから出てくる魔法石は新しいエネルギー源として注目されるほか、モンスターを倒すためのより強力な武器や防具に生まれ変わらせることもできる。だが人類最弱の水篠は“稼ぎ”が悪く、ちっぽけなナイフを買うことしかできずにいた。

レイドの参加者たち ハンターによって扱う武器も能力も異なり、中には“回復魔法”を扱う者も

立ち向かう理由

難易度が低めのレイドということもあり、ハンターたちは次々と遭遇したモンスターを倒していく。水篠も、今日こそはやってやるという思いでダンジョンを進んだ。道中、緑色の肌をした小型のゴブリンをなんとか倒すと、小さな魔法石を得ることに成功する。緊張が途切れ、肩で息をする。「ようやく1個目……」

しかし安心したのも束の間、ハンターの一人が声をあげる。「水篠さん!」。振り返った彼の目に飛び込んできたのは、自身の命を奪おうと襲いくる別のゴブリン。水篠が持つナイフの3倍はあろうかという剣を容赦なく振り下ろしてくる。虚をつかれながらも、水篠はなんとか反撃へ転じた。……だが気づくと、敵の刃が右脇腹に深々と突き刺さっていた。悲鳴をあげながら地面をのたうつ。薄れゆく意識の中、水篠の目には華麗に敵を倒していくハンターたちの姿が映っていた。

周囲のハンターたちの手助けで、水篠はなんとか一命を取り留める。気だるい体をなかなか起こすことができずにいると、そのうち大きな衝撃音と共に「やった、ダンジョンボスを倒した!」というハンターたちの声が響いた。見ると、獅子(しし)のような顔を持つ大きなモンスターが倒れており、ハンターたちが獲得した魔法石などに一喜一憂している。それに比べて、自分が得たのは小さな魔法石ひとつ。割に合わないと、水篠は思った。

彼には、金を稼ぎたい理由があった。それは入院している母親の治療費のため。また大学受験を控えた妹のため……。父親は失踪しており、家族の中で働けるのは彼だけだったのだ。幸か不幸か、そのD級ダンジョンは【二重ダンジョン】だった。ボスを倒したエリアから脇道のように別の洞窟が続いている。奥にはまだ、“獲物”となるモンスターがいるかもしれない。ハンターたちは多数決の末、レイド続行を選択。水篠ももちろん、賛成に手を挙げた。

D級ダンジョンでもヘタをすると命取りになる 分かっていても水篠は先に進むことを選んだ

生き延びるための、唯一の方法

洞窟の最奥にはなんとも巨大な、観音開きの扉がそびえていた。ハンターの一人が押し開くと、ゴゴゴゴという重苦しい音が響く。その先は、数え切れないほどの燭台(しょくだい)が壁を覆い尽くす広大な部屋。外部の光は一切入ってこず、燭台の青白い炎だけが部屋全体をぼんやりと照らしていた。だが、肝心の“獲物”となるモンスターの姿が見当たらない。その場にいる全員が何か違和感のようなものを覚え始めた頃、ハンターの一人が震えながらつぶやいた。「……あの大きな石像、目が動きました。私たちのことを見てたんです」

……その部屋には、壁に沿って何体もの石像が建てられていた。鎧(よろい)を身につけ、武器を持ち、こちらを見下ろすように……。突如、部屋の扉が閉まる。まさか閉じ込められたのか?ハンターの一人が扉へ急ぐと、その背中を追いかけるように、扉のそばの石像が動き出した。

……何かを押しつぶすような切り裂くような、実に不快な音だった。石像が振り上げたメイスのような武器によって、ハンターの一人が文字通りあっけなく散った。「まさか、あれと戦うのか……?」。考えている暇は与えられなかった。一際大きい石像の両目がギョロっとこちらを向く。刹那、光り出したその両目からはまるでレーザーのような熱が放射され、地面を抉(えぐ)るように焼き焦がした。家族のために金を必要としていた水篠は、絶望の淵(ふち)でこう思った。……いったい、どうしてこんなことに。

――ハンター協会の会長・後藤清臣(ごとう・きよおみ)は語る。「ハンターは命懸けの職業です。レイドに慣れてきたとしても、決して油断してはいけない。驕(おご)ってはいけない。軽んじてはいけない。生き延びるためにはたった1つ、臆病でいてください」――

石像を見上げる水篠 その表情には絶望の色が浮かぶ

画像提供:©Solo Leveling Animation Partners

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