【リニア】静岡・川勝知事「東京~名古屋も部分開業」「部分開業はJRのスタンスに沿っている」

静岡 川勝平太知事:「大谷翔平君のように『翔』駆け上ると、辰年ですね。龍が富士山に駆け上る、そういうように翔平君とともに日本一の富士山、世界の宝物になった富士山に喜んでもらえるように、そういう年にみんなでしていきませんか、と言いたいですね」

メジャーリーガー大谷翔平選手の活躍を例にあげ、今年の抱負を語った川勝知事。その中で、“あの問題”についても言及しました。

静岡 川勝平太知事:「実質上2037年までは、南アルプスは救われた状態だと」

品川~名古屋間の開業時期「2027年」から「2027年“以降”」に変更

今年も県民の注目を集めそうなリニア問題。その理由は、JR東海が12月、品川~名古屋間の開業時期をこれまでの「2027年」から「2027年“以降”」に変更したためです。

開業時期の変更について川勝知事は、JR東海の丹羽俊介社長をこう持ち上げます。

静岡 川勝平太知事:「これは快挙だと。実質上、2037年までは南アルプスは救われている状態だと。つまり傷がつかない状態でいられるという保証にもなった。非常に嬉しかったですね。南アルプスの良かった良かったという声が聞こえてきたぐらいですよ。声なき声があるんです。丹羽さん、さすがですね、静岡県の血を引いていらっしゃる。お母様か何かかね。浜松の関係されている方、非常に愛着を持っている、それが出たかなぁ、とうれしいですよ」

川勝知事は、南アルプスの生態系への影響は大阪まで開通する2037年までに解決すればいいとの考えを示しました。

静岡 川勝平太知事:「南アルプスは今まで環境について調査する事が残ってますから、だから2037年までに南アルプスの問題は解決すればいい。これはもうものすごく大きな変化だと思いませんか。と同時に、難しいことからやるというのではなくて、得意なものからやるっていうやり方もあるじゃないですか。ですから、できるところからやればいいという、そういう含意がありますね」

JRが出した方法が「部分開業」

川勝知事の言う「できるところからやればいい」というのは、持論である“あの案”のことなのでしょうか…。

静岡 川勝平太知事:
Q.知事の中での“解決策”は「部分開業」なのか「ルート変更」なのか?

A.「実は葛西さん(JR東海元名誉会長)の出した方式が『部分開業論』なんですね。つまり、大阪までが全線開通です。それは名古屋まででしょう。2027年やって、彼は18年後(当初目標の2045年)に造ればいいと思ってたわけですよ。これは部分開業じゃありませんか。ですから、できるところからやるっていうのは、非常に現実的。しかも、JR東海は自分で言ったことを守っていないと思っている」

「防災面からも意義がある」

つまり、すでに実験線が走っている山梨県と、駅の工事が始まっている神奈川県だけを「部分開業」すればいいというのです。ただこの案をめぐっては、おととし、川勝知事はリニア実験線に乗車後、「できないことが分かった」として、部分開業は不可能との認識を示していました。それなのに、ここにきて再燃した「部分開業論」。川勝知事は防災上の観点からも部分開業は意義があると主張します。

静岡 川勝平太知事:「甲府はですね、山の中ですから、雪に閉ざされたことがあります。ですから、雪に閉ざされると言う事は道路が使えない。ですから首都圏に逃げられる、あるいは首都圏から助けにいけるわけですね。ですから本当の危機管理ということであれば、私はそういう現実的にあったところでやれば、営業すれば、それなりに収入が入ってくる」

山梨県知事「決してない話ではない」

川勝知事のいう部分開業論について、山梨県はどう思っているのでしょうか、長崎幸太郎知事は全線開通が大前提とした上で次のように話します。

山梨県 長崎幸太郎知事(12月20日):「仮に甲府から品川までの間が先に完成が見通せるような場合であれば、トンネルができるまでの間は、品川から甲府の間を行ったり来たりというのも、決してない話ではないんじゃないかなと」

神奈川ではなく、品川という条件付きで部分開業を歓迎する考えを示しました。

品川~名古屋間も“部分開業”

部分開業をめぐっては、県議会でも追及された川勝知事。また昨年末の会見では、こんなことを話していました。

静岡 川勝平太知事:(12月26日):「(JR東海が)部分開業はしないとおっしゃったわけですね。そうすると全線開通を目指すと、とらえてもいいのか。(JR東海は)名古屋まで2027年に造ると言っていた。全線は大阪までだから、名古屋までの開通は部分開業ではありませんか? でしょ? その部分開業をしないと言った。2037年全線開通まで部分開通しない、そういうふうにとってもよろしいですか?」

つまり、川勝知事に言わせれば、品川~名古屋間も“部分開業”にあたるというのです。

Q. 今の部分開業の話だと、東京~名古屋間を部分開業と言っている?
A.「それは部分開業ではありませんか、違いますか?」

そのうえで一番早く開業できる山梨~神奈川間について言及しました。

川勝知事「JR東海の事業計画に書かれていることを私は申し上げている。(事業計画には)実験線の延伸完成から、間断なく東京~名古屋を2027年までに完成させ、体力をつけて、当時は2045年に大阪まで開通させる。ですから、実験線の完成とは一番近い43キロの実験線が一番近いところは甲府駅と(神奈川県の)橋本駅になる。これは72キロ。そのうち43キロが出来ている。実用線になるのは、甲府から神奈川まで結ばれること、そうすれば営業できるでしょ。ですから、それを実行されるべきと言っていて、極めてJR東海のスタンスに沿って申し上げている」

(1月8日放送)

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