〈コロナ禍の全仏オープン観戦記〉子どもと一緒に行く際のポイントも[全仏オープン]

開催中の全仏オープンを現地で観戦!
子どもと一緒に行く際のポイントなど紹介

間もなく観光客の受け入れを開始するというアナウンスがあったが、まだまだコロナウイルスの影響が残る日本やアジア諸国。そんな中、現在フランス・パリで開催中の全仏オープン(大会7日目)を筆者の子どもたち(11歳と9歳の2人)と一緒に観戦した。当初、渡仏に際しさまざまな懸念があった。そうしたことを含め、観戦の際のポイントや注意点なども紹介する。

全仏オープンの会場の様子。右にあるのが「コート・フィリップ・シャトリエ」、奥に見えるのが「コート・スザンヌ・ランラン」

チケットを買い逃して
“激高”チケットしか残っていない!!

全仏オープンを観戦すると決めたら、まずはオフィシャルサイトでチケットを探すところから始まる。筆者の場合、ヨーロッパに行くと決めたのが遅かったこともあり、全仏オープンのサイトでチケットを探した時には非常に高額なホスピタリティチケット(食べ物や飲み物が常に用意されており、特別な場所で観戦することができるチケット)しか残っていなかった。

そのため当初は観戦を諦めかけていたが、リセールチケットを発見したことで、「コート・スザンヌ・ランラン」の前から4列目の席を購入することができた。この席は、ホスピタリティチケットよりもはるかに安い。

リセールチケットを購入するには、チケットコーナーでこのセクションを探す

実は買いそびれてしまったのだが、一番前の席がリセールチケットとして販売されていた。この席は数十分後に確認したところ、すでに売り切れてしまっていた。

チケットと一緒にランチもオーダーしておくのがおすすめ

チケットを購入する際に、サンドイッチや飲み物などを合わせてオーダーしておくことができる。筆者が選んだのは、ハンバーガーとペプシ、パイナップルのセット。料金は12.5ユーロだった。後述するが、ランチタイムは会場内の飲食店が非常に込み合う。そのため前もって購入しておくことで別の窓口にて受け取ることができるのでおすすめだ。

全仏オープン公式アプリでオーダーしよう

日本出国時はPCR検査の結果を提示したが、フランス入国時はチェックなし!

今回はエールフランス航空の直行便でフランスに入国した。日本から出国する際にはPCR検査の結果を提示したが、さっと目を通すくらいで非常に簡素だった。

今回子どものテニスラケットを日本から持っていく必要があったのだが、エールフランスでは“すべての荷物を丁寧に扱う”ということで、荷物を預ける際にラケットへの「貴重品タグ」は付けられなかった。エールフランスを利用して海外にラケットを持参する際は、ラケットが押しつぶされないようしっかりとしたバッグに入れておくことをおすすめする。

日本出国時も簡素だったが、さらに驚いたのはフランス入国時。PCR検査の結果も、ワクチン接種証明の結果も聞かれず、子どもたちの年齢も聞かれなかった(11歳以下はワクチン接種証明もPCR陰性証明も不要)。子どもたちの年齢に関しては、一瞬でパスポートを見て年齢をチェックしたのかもしれないが、それにしても非常に早かった。昨年の12月末に香港から日本に帰国した際、数多くの手順を踏んだため今回も覚悟していたが、さっさと入国できてしまった。入国前に必要だとされていたユーロ圏に入る人が全員入力しなければならないフォームの確認も行われなかった。

空港近くのホテルに滞在。
空港から「CDGVAL」というシャトルで簡単に到着

パリの電車は危ないとよく言われるが、空港ホテルや別のターミナルに行くために利用される「CDVVAL」というシャトルはとても安全だ。今回は「Parking PX」という駅にあるホリデーインに滞在し、そこから全仏オープンを観戦しに行った。

ホリデーインからローランギャロスまでは車で20分〜40分程度。移動時間は道路の込み具合によっても異なる。朝は非常に空いているが、帰りは事故が起こった影響もあり1時間くらいかかった。ドライバーは簡単な英語でも分からない場合があるので、翻訳アプリなどを使ってフランス語で対応できると安心だ。

《子連れ観戦のポイント》CDVVALは子どもと一緒でも安心!

会場への入場は非常にスムーズ

デイセッションの入場は午前10時から。入場時間5分前くらいになると荷物チェックのために門の中に入れてもらえる。そして、実際にチケットを持って中に入るのは時間ちょうどとなる。おおらかなフランスにあって、エントランスが非常によく管理されており、いい意味で驚かされた。ゲートがたくさんあるし、身分証確認も素早い。スタッフも数多く配置されている。

エントランスでは全仏オープンの公式アプリにあるチケットのQRコードをかざして入場することができる。アプリのインストールは必ずしておこう。

チケットについたQRコードを機械にかざして入場する

チケットはこのようにQRコードになっている

《子連れ観戦のポイント》全仏オープンのアプリは前もって準備しておくと、子どもをスムーズに入場させられる。他の人がチケットを利用するのを防ぐため、チケット購入後にアプリ内で本人確認の作業が必要だ。

外コートは非常に込み合う!
見たい試合がある人は真っ先にコートへ

スタジアムではない外のコートで行われる試合を見たいのであれば、早めに会場に着いて並んでおくことをおすすめする。そして入場後は、他のことをせずに真っ先にコートに向かいたい。座席指定がある「コート・フィリップ・シャトリエ」や「コート・スザンヌ・ランラン」、「コート・シモーネ・マチュー」以外のコートは、指定席なしの比較的安価なチケットで入場する地元の人もたくさん見に来ている。そのため、人気選手の試合が組まれている場合は非常に混雑する。

筆者はコート14にスケジュールされていたアンドレイ・ルブレフ(世界ランキング7位)の試合を観戦したかったのだが、食事を取りに行ったりトイレに行ったりしている間に、試合が始まる午前11時までにはすでに満席どころか長蛇の列ができていて、これだけは少し心残りとなった。

食事はチケットと一緒にオーダーしておくと混雑を避けられる

チケット購入時に一緒にオーダーしたランチセットのパイナップル

観戦中に気軽に食事を購入できればいいが、昼頃になるとショップの前に長蛇の列ができる。前もってチケットと一緒にオーダーしておくと、別の窓口で受け取ることができるので便利だ。こちらも全仏オープンのアプリを使ってQRコードを提示するだけで受け取ることができる。

オーダーしてある食事は、このコーナーで受け取ることができる

このように食事を紙袋に詰めてくれるが、紙袋が破れやすいので注意!

《子連れ観戦のポイント》子どもたちが「お腹が空いた」と言い出す前にランチをピックアップ!

マスク着用率ほぼゼロ!?
かつての賑わいを取り戻した全仏オープン

2022年の全仏オープンは多くの観客の観戦が可能となった。驚きだったのは、99%の観客がマスクをしていない、ということだ。日本ではまだどこに行ってもマスクをしているのが普通であるだけに、この状況に初めは違和感があったが、フランスではみなコロナウイルスをすでに過去のものとしつつあるのだと感じた。

実際、マスクをしていたのは筆者の子どもたち(絶対に外さないと言っていた)と、会場のスタッフ1人のみだった。

何かと話題にのぼるステファノス・チチパス(ギリシャ/同4位)の父であるコーチのアポストロス氏。チーム席にいる姿もこんなによく見える

おみやげは7ユーロのショッピングバッグがおすすめ!

ショップで販売されていた7ユーロのショッピングバッグは、上着を入れたり食事を入れて持ち歩いたりするのに非常に便利。デザインもかわいく、おみやげにおすすめだ。全仏オープンで売られていたおみやげはデザイン性も高く、実際に身につけたり持ち歩きたくなるものばかりだった。

7ユーロのショッピングバッグと子ども用のキャップ

ペンには“ROLAND GARROS”のロゴが浮かび上がるライトがついていた。子どもたちは大喜び!

食事を入れてもらえる紙バッグに要注意!
すぐに破れる…

会場内で売られている食事は、ファーストフードと呼ぶにはもったいないくらい、なかなか美味だ。帰り際にディナー用としてチキンとポテトのセットを買って帰ったのだが、冷めてもおいしかった。

ただ、気を付けたいのが食べ物を入れてくれる紙バッグ。非常に破れやすく、子どもが持っていた食事の袋が水蒸気で2回も破れてしまった。タクシーのUberに乗る直前に破れ、食事が入ったボックスが地面に散乱する、という事件が起こったので、ビニール袋を持参することをおすすめしたい。

帰るなら早めがいい!?

“せっかくローランギャロスまで行ったのだからギリギリまで観戦したい!”と思うのは当然だが、デイセッションが終わる18時まで会場にいると、タクシー乗り場が非常に込み合う。むしろタクシーが全然おらず、フランスらしいと感じた。上海マスターズ(ATP1000大会)の会場の入り口にタクシーが何十台も待っているのとは大違いだ。

そのため、みんな勝手にタクシーやUberを呼ぶことになる。パリではUberやG7というタクシーアプリがよく使われており、筆者は香港で使い慣れていたUberを利用した。過去の利用者によるドライバーへの評価はどれくらいあてになるか不明だが、それでも安心だ。実際、乗った車のドライバーは非常に親切で、途中で事故があった道を通らずより早い道を通って送迎してくれた。

《子連れ観戦のポイント》Uber必須! クレジットカードの設定まで済ませておくと◎

実際に試合を目で見るよさとは?

この日の「コート・スザンヌ・ランラン」では、男女それぞれ2試合を見ることができた。中でも、最も印象に残ったのがダニール・メドベデフ(同2位)だ。対戦相手であるミオミール・ケツマノビッチ(セルビア/同31位)のアグレッシブで素晴らしいショットを、さらに上回るショットで打ち返してポイントにしてしまう。また、大切なポイントであるほどほどアグレッシブ、かつミスのないテニスをする。

テニスのうまい・ヘタで言えばすでに信じられない領域にいる選手たちの中で、上位にランクインされる選手たちのプレーを見ることは、非常に大きな意味を持つと感じた。

メドベデフは試合中、調子のいい時ではあまりタオルを使わないが、少しプレッシャーを感じているときやミスが出たときなどにタオルを使っていた。また、選手のフラストレーションが爆発する瞬間を見ると「このポイントを非常に重要視していたのだな」ということを知ることができる。

通常はハイライトや編集された試合の動画を見たりすることが多い分、その合間に潜む勝負どころの認識や選手が見せる人間らしさなどを見ることができるのは、実際に試合を観戦する醍醐味であると言えるだろう。

また、試合コートや練習コートに向かう選手に運よく出くわすことができると、サインをもらったり一緒に写真を撮ってもらったりすることができる。グランドスラムだと来場者の人数も多く容易ではないが、ATP250レベルの大会だと選手との距離感が近く、大きな大会とは別の楽しみがあると言えるだろう。

会場内ではコートへ向かう選手が歩いている。運がよければサインや写真撮影に応じてくれることも

デザイン性が高く来訪者を楽しませてくれるローランギャロス

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