夫婦そろって日展入選 書家・西谷昇仙さん、光葉さん(青森・平川市)

2人そろっての日展入選を喜ぶ西谷昇仙さん(左)光葉さん夫妻。上段が昇仙さん、下段が光葉さんの入選作

 青森県平川市の書家で青森山田高校教諭の西谷昇仙(本名・隆志)さん(65)と、妻光葉(同・敬子)さん(64)が本年度の日展に夫婦そろって入選し、喜びに沸いている。2人は「これからも書き続ける」と意欲を燃やしている。

 同市(旧尾上町)出身の昇仙さんと、和歌山県紀の川市(旧打田町)出身の光葉さんは、「書の大東」と呼ばれる大東文化大学の書道部の先輩後輩。当時、書道部員は約400人おり、うち上位100人に入らなければ校外展に出品できないという厳しさだったという。

 大学で頭角を現した2人にとっても「長い間、日展入選は遠くにあるものだった」(昇仙さん)。2003年に弘前高校創立120年を記念して開かれた日展弘前展を鑑賞したことがきっかけで「学び直さなければいずれ行き詰まる」と一念発起。大阪に本部がある書道団体「璞社(ぼくしゃ)」の門をたたき、夫婦で精進を続けてきた。

 昇仙さんは14年度、光葉さんは19年度に初入選を果たし、今回を含めた入選回数はそれぞれ5回と3回。近年はまるで夫婦で補い合うかのように、互い違いの入選が続いていた。「これまで夢が何度もかなった上、夫婦で頂けたのは大変ラッキーなこと」と昇仙さん。高校の書道講師などを務める光葉さんは、仕事中に昇仙さんの電話でそろっての入選を知らされ「仕事が手につかなかった」と苦笑する。

 今回の入選作は、昇仙さんが長さ4メートルの巻子(かんす)の五言古詩「朱彝尊詩(しゅいそんし)」、光葉さんは12枚の紙を貼り合わせた帖(じょう)の七言古詩「嵯峨天皇詩」。中国と日本の、いずれも秋の情景をうたった詩だ。昇仙さんは「『余白を書く』のが難しい」と奥義を語る。

 昇仙さんは、平川市が誇る「世界一の扇ねぷた」を手がけているねぷた絵師でもある。「書も絵も50年、『書画一致』の精神で取り組んできた」と振り返る。

 「書かなければ、そこで成長が止まる」。2人はさらなる研さんを誓っている。入選作は、昇仙さんが主宰する書道団体「玉響(たまゆら)書院」が5月10~12日に弘前市の百石町展示館で開く作品展で展示される。

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