5万で買った中古のカメラ→3年間、泥にも負けず海水にも負けず 洞窟撮影を支え続ける“相棒”への思い

泥まみれになったカメラが年始、X(旧・ツイッター)で話題を呼んだ。写真を見る限り、壊れていても不思議ではない汚れ方だが故障なし。カメラの持ち主は、昆虫や冬虫夏草などを各地で撮影し、YouTubeなどで公開している「うごめ紀」さん。使い始めて約3年、海水を浴びても泥まみれになってもただの1度も壊れてないという。うごめ紀さんに国内外を共に渡り歩いてきた愛機への思いを聞いた。

話題を呼んだ投稿で、泥まみれになっているカメラは「LUMIX DMC-G8」(以下、G8)という機種。2016年にパナソニックから発売された。趣味で昆虫の写真撮影を始めたうごめ紀さんにとって、G8に搭載された「フォーカスブラケット機能」(1回のシャッターで、自動的にピント位置を変えながら連続的に撮影できる機能)は魅力的だった。当時は金銭的に購入を断念したが、21年に中古品を5万円で購入し、3年ほど愛用し続けている。

「僕が求める最低限の動画・静止画性能を有しており、かつ小さく軽く、手になじみ、非常に操作性が良い」と信頼は絶大。また、アウトドアの幅広い撮影シーンにも対応する防塵・防滴仕様(防塵・防滴対応レンズを装着時)も強みの一つ。おそらく、うごめ紀さんはその仕様を最大限に生かしているユーザーの一人だろう。

国内外の山や洞窟で昆虫などの小さな生き物を撮影するという特殊な用途上、カメラが雨に濡れたり泥だらけになることは日常茶飯事。5メートルほどの急斜面から誤って落としてしまったり、浜辺で大量の海水がかかったり、幾度となく故障を覚悟する瞬間は訪れたが、いまだに支障なく動いているという。

この年末年始には海外の洞窟で昆虫撮影を敢行。洞窟では一式がひどく泥だらけになるが、対策はカメラ自身の防塵・防滴仕様に一任した。その結果が話題を呼んだ写真の通り。「雑な扱いだと思われるかもしれませんが、これは機動力を落としたくなかったのと、経験的にも大丈夫だと思ったのが理由です」とうごめ紀さん。実際、5カ所の洞窟に入り泥まみれになったが、故障なく帰国の途に就いた。

では、長持ちの裏に丁寧なメンテナンスがあるのではと思い、聞いてみると「きれいにしても使うたびにすぐ汚れるため、手入れは恥ずかしながら大した事をしていません」と意外な答えが返ってきた。まとわりついた砂や土を送風機で吹き飛ばし、水やアルコールで本体とレンズを拭く程度。今回の海外遠征でようやく「さすがにプロのメンテナンスサービスを利用しようかと思っています」と検討するほどだ。

雑な扱いに見えても、それは信頼があるからこそ。苦楽を共にした愛機への思いは強い。「G8には強い愛着があります。ここ3年間はどこに行くにも一緒でしたし、G8で撮った作品のおかげで生計を立てられるようになったからです」と感謝する。

現在、YouTubeのチャンネル登録者数は37.5万人(9日時点)にまで成長した。かつては新品のG8に手が届かなかったが、後継機「―G9」(以下、G9)は新品で購入した。それでも「本当は撮影システムをG9で一本化したいのですが、いまだにG8を手放すことができていません」と吐露。より高いスペックが必要な撮影にはG9を使用するが、サイズや重量感などの操作性でうごめ紀さんに合うのはやはりG8だという。

「まだしばらくは相棒として使い続けると思います」。カメラともども、泥まみれになりながら昆虫の機微を撮り続ける。

「うごめ紀」さんのYouTube:https://www.youtube.com/@UgomekiMushi

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

© 株式会社神戸新聞社