被災地の子どもたちへ、揺れたら頭守って 東日本大震災経験の吉田さん(仙台)、ランドセルのふた活用を

吉田さんが開いた防災訓練で、ランドセルのふた部分を頭にかぶせて身を守る子ども=宮城県内

 富山県内の小中学校で3学期が始まる中、東日本大震災を経験した防災減災危機管理アドバイザーの吉田亮一さん(66)=仙台市=は、子どもが自分で地震から身を守ることの大切さを訴えている。元日の能登半島地震から余震が続き、登下校や留守番など子どもしかいない時に地震が起きる恐れもある。吉田さんは「備えは身近なもので簡単にできる。実際の災害を想定して知識を得ておくことが重要」と話す。

 吉田さんは東日本大震災で被災した際、責任者として指定避難所を運営した。現在は、全国で講演や防災指導を手がけている。

 吉田さんは、最も危険な場面として、教員や保護者のいない登下校中を挙げる。多くの児童は携帯電話を持たず、緊急地震速報を得られないためだ。

 揺れを感じたら、まずは建物から離れ、背負っているランドセルのふた部分を頭にかぶせてしゃがむと良いと言い「頭から背中まで守ることが大切」と指摘する。揺れが収まって避難する時も、余震で何かが落ちてくる可能性があるため、ランドセルのふた部分を頭にかぶせたまま移動してほしいという。

 授業中に地震が起き、机の下に隠れる際には、揺れで机が倒れないように支える必要がある。学校の机は大きく分けて2種類ある。高さを変えられる可動式の机には背中側から机の下に入り、床と平行の脚の手前の角2ケ所を上から押さえる。4本脚の机は、対角の脚2本の上部分を持つと倒れにくい。

 避難中や避難場所にも危険はある。階段を下って避難している時に余震が起きたら、体の向きを180度変えてしゃがむと階段につかまることができる。体育館は落下物が多いため、雨や雪が降っていても校庭に避難することを勧める。

 家庭でもできることがある。保護者は、地域の避難所を子どもに伝えておいたり、靴や防犯ブザーなどを入れた袋を枕元に用意しておいたりすると役に立つ。吉田さんは、災害はいつどこで起きてもおかしくないとし「学校や家庭で災害時の備えを再確認してほしい」と話した。

防災訓練で、机が倒れないように両手で支える子ども

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