ARRI、「TRINITY Live」発表。TRINITYスタビライザー第1世代を放送用に最適化

ARRIは、TRINITYスタビライザー第1世代の放送用に最適化した「TRINITY Live」を発表した。TRINITY Live、マスターグリップTRINITY、および24Vアップグレードは、現在注文を受け付けている。

ARRIマルチカムシステムおよびサードパーティ製放送アプリケーションとの最適な統合

TRINITY Liveは独立型製品ではなく、ARRIのフラグシップ製品であるボディマウント型カメラスタビライザーの第1世代「TRINITY Gen.1」のアップグレードオプション。新しいハードウェア、配線、接続で構成されるアップグレードキットは、スタビライザーをライブプロダクション向けに最適化し、ARRIマルチカムシステムおよびサードパーティの放送アプリケーション内での機能を向上させている。

ラスベガスで開催されたNAB(全米放送事業者協会)ショー2023で、ARRIは既存のARRIカメラとスタビライザーの放送機能を拡張するカメラコントロールパネルCCPライブとタリーシステムGen.2を発表した。新しいTRINITY Liveは、これらの両方の製品を補完し、ARRIカメラをライブのマルチカメラ放送環境にシームレスに統合する理想的な方法を提供する。

スタビライザーの最大4kgの軽量化と信号の安定化を実現

TRINITY Liveでは放送業務に必要なワイヤレスビデオリンクは、通常のようにカメラに取り付けるのではなく、スタビライザーの下部に取り付けることが可能。Vislinkシステムのようなワイヤレスビデオリンクをセンターポストの下部に配置することで、リグのバランスを取る際のカウンターウェイトとして使用でき、最大4kgの軽量化が可能。また、アンテナはカメラに取り付けるときよりも小さな半径で回転し、高さの変動が少ないため、新しい位置ではワイヤレス信号がより安定化する。

TRINITY Liveアップグレードの最大の特長は接続性の向上であり、4本の新しい4Gビデオ回線と10Gビットのシールドイーサネット回線により、新しいワイヤレスビデオリンクポジションを実現。新しいビデオ回線のコネクターは、まったく新しいセンターポスト、ポスト接続、トップステージジャンクションボックス、および配線カバーを必要としているが、これらはすべてアップグレードキットに含まれている。

TRINITY Liveは合計で5本の4Gビデオ回線を備えている。4本の新しい回線は、最大4つのクワッドリンク信号(4×3G)をワイヤレスビデオリンクに供給し、デュアルSDI(2×6G)が必要な場合は2本のビデオ回線をワイヤレスビデ オリンクに供給。5本目のビデオ回線は再生回線として機能し、オペレーターは、中継車からTRINITY Liveにワイヤレスで送信された映像をセカンドモニターで見ることが可能。また、追加の内部10Gビットイーサネット回線により、中継車での完全なカメラ制御と通信が可能になる。

ARRIカメラスタビライザーシステムのプロダクトマネージャーであるカート・シャラー氏は次のようにコメントしている。

ARRIでは、お客様の投資収益率を最大化することを大切にしております。そのため、TRINITY Liveのアップグレードにより、TRINITY Gen.1の長寿命化および、機能が拡張することを嬉しく思います。

TRINITY Gen.1をまだ所有していないもののTRINITY Liveを使って放送アプリケーションに進出を検討しているオペレーターにとって、中古リグを購入する最適な場所は、ARRIが認証した中古品プログラムです。他の場所で見つけた場合も、お近くのARRIサービスセンターに持ち込んでいただければ、購入前に機器がアップグレードに適した状態であると確認するためのあらゆるチェックを行います。

24V電源とマスターグリップTRINITYのさらなるアップグレードを提供

また、TRINITY Liveには特定の使用用途に合わせて、さらに2つのTRINITYアップグレードオプションも用意されている。ARRIマスターグリップTRINITYアップグレードでは、LBUSコントローラを介することでズームレンズとスタビライザーの傾斜軸を同時にコントロールすることが可能。

TRINITY Liveの24Vアップグレードでは、オペレーターはALEXA Mini LF、ALEXA 35、またはソニーVENICEを使用する際、システムの信頼性の高い24Vカメラ電源を利用できる。なお、TRINITY Gen.1リグが以前に24Vにアップグレードされている場合でも、TRINITY Live変換の一環として、この新しい24Vアップグレードを取り付ける必要がある。

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