「感情の爆発」を防ぐためには?衝動をコントロールする秘訣

悩んでいることや苦しいことで気持ちが膨れ上がり、自分では抱えていられなくなって行動に出るのが「衝動」です。

衝動は感情の爆発であり、それまでの抑圧や葛藤が強いほどに極端な言動に走ります。

気をつけたいのは、衝動で何かをすることはその後の結果で余計に自分が苦しむ可能性です。

感情の爆発を向けられる相手がいる場合は、その人の気持ちを想像しないことでかえって心の距離に溝を作ってしまいます。

衝動を止めるにはどうすればいいのか、お伝えします。

心が追い詰められて生まれる「衝動」とそのリスク

たとえば、恋人と喧嘩して連絡を取らなくなり、仲直りしようと意を決して電話をしたら拒否設定されていた。

こんな事実を突きつけられると、遠ざけられている自分を知ったことで心は大きなショックを受け、思考は混乱します。

心臓がドキドキして「嫌われてしまったのだろうか」の不安が心に渦巻き、そこまでする相手の気持ちを考えたら「もうダメだ」と落ち込みます。

相手がなぜそれをしたか、の確認は拒否されている以上は不可能で、身動きが取れずひたすら拒絶されている自分に絶望を感じるのですね。

落ち込みの次に来るのが「このままでは嫌だ」の抵抗で、こんなことをしてこちらを傷つけてくる相手への怒りや、それでも何とかして元の状態に戻りたい願望が強くなります。

電話やLINEを拒否されていても、「会いに行くことはできる」など別の手段を使って相手と接触することを考え、今の自分を知ってもらうにはそれしかないと思い込んで行動に移します。

悩んでいるときは会いに行く勇気など持てなかったのに、相手からネガティブな気持ちを向けられていると知ったことで突然行動を起こすことを決めてしまうのは、「このままではおかしくなる」と心の動揺に耐えきれないから。

大きく揺れ動いた末に感情は爆発し、「今すぐ会いに行こう」と慌ただしく準備します。

衝動は心が追い詰められて生まれるものであり、そのときは「そうするしかない」と自分が今からすることを正当化します。

ですが、ショックを受けてからの思いつきで行動することは、すべて自分の事情でしかありません。

相手には相手の事情があり、それを無視した振る舞いは、その結果かえって自分を追い詰める状況になるのがほとんどです。

その自分を受け止めるかどうかは「相手しだい」が現実

そのままクルマに飛び乗って相手の家まで行き、インターホンを押したとしても、自分が来たとわかった相手がまともに対応するかどうかはわかりません。

インターホン越しに「帰ってほしい」と言われたらそこで関わりは終了になり、「ちゃんと話したい」とどれだけ食い下がっても出てきてくれない限りはそれも叶わず、「人を呼ぶぞ」など言われてしまうケースも少なくありません。

衝動で相手に向かっていっても、その自分を受け止めるかどうかはどこまでも「相手しだい」なのですね。

逆の立場になればわかりますが、拒否設定をするほど遠ざけたい相手がいきなり家まで来たら、落ち着いて会話ができるでしょうか。

相手の言動に恐怖を覚えたら拒否する一方になり、心は新しい嫌悪感でいっぱいになりますよね。

衝動で何かをすることのリスクは、「そうするしかない」とこちらは思い込んでいても相手にとっては余計に拒否感を強くするものであり、仲を回復する機会を奪うことです。

なかには試し行為で連絡先をブロックし、それに慌てた相手が大急ぎで自分の元へ飛んでくることを願う人もいますが、相手に与えた衝撃は「何でこんなことをするのだ」など自分への攻撃として返ってきます。

「許してほしい」と請う相手の姿を望んでも、それが実現するかどうかはまた「相手しだい」であり、こんな試し行為の結果であたたかい愛情を確認しあったケースを筆者は知りません。

衝動は、それを生んだ側も生ませた側もポジティブな状態とは決して言えず、爆発した感情で向き合っても互いを受け入れる愛情などないのが現実です。

衝動に支配されそうになったとき、考えたいこと

「そうするしかない」と思うのは自分の事情であり、それをどう受け止めるかは相手しだいでこちらの思い通りにいくかどうかはわからないと思えば、「何もしない」ことが今の自分にとっての正解なのだとわかります。

こんなときに考えないといけないのは、相手の気持ちや状態の前に「それをした後で自分が苦しむ可能性」です。

「この自分で相手の元に向かえば両腕を広げて迎えてもらえるはず」なんて期待を持つほどに、それが叶わなかったどころか会うことすら拒否された結果になれば衝動を抱える前より心は落ち込みます。

相手の事情を今すぐ知ることはできず、会いに行ったけれど来客中で対応されなかったりそもそも家にいなかったりの空回りも避けられません。

動いた結果、以前より悪い状態になる自分の可能性は必ずあって、それを考えれば感情が膨らんだときこそ「堪える」強さが必要です。

衝動が生まれても何もしないのは自分のためであり、落ち着きを取り戻すこと、冷静な思考を意識するのが、動きたくなったときの正解。

心臓の動悸の激しさが加わって感情は乱れるばかり、息をするのが苦しくその状態から動くことで逃げ出したくなるため、止めるにはまずはその場で深呼吸を繰り返します。

深呼吸は、浅くなっている呼吸のせいで脳に酸素が足りていない状況をいち早く元に戻す身体の動きで、深く息を吸って吐くことに集中して衝動を散らしていきます。

膨れ上がった感情を抑える、動きたいのを堪えるそのときの力は、後になって「衝動であんなことをやらなくてよかった」という結果を連れてきます。

今からしようとすることがどんな自分を生むか、成功が絶対に約束されていない以上は「何もせず現状をもう一度見つめ直す」のが最善であり、自分にとっての正しい選択をする自信になります。

相手に残す自分の姿を想像する

衝動で何かをすれば、相手はそれをする自分お姿を記憶します。

「連絡先をブロックしたら突然家にやってきた」自分はどんな印象を相手に与えるか、切羽詰まった様子がポジティブな感情を生まないことは想像できますよね。

逆の立場になったとき、まるで圧力をかけるかのように「対応しろ」と自分の存在をねじ込んでくる相手を見れば、前向きな会話ができるとは思えません。

行動を起こせば必ずその自分が相手のなかに残ります。

こちらの都合よく「こんな姿だけ覚えてほしい」と思っても、決められないのが現実です。

自分も等しく相手の姿をそのまま記憶して何かの印象を持つのなら、相手がそうすることも止められないのです。

だからこそ、衝動のまま何かをするのは自分が損をするリスクが高く、一度それを見せてしまえば相手は「こういうことができる人なのだ」と心に刻みます。

後になって「あれは間違いだった」と謝罪しても、ふたたび同じような状況になったとき、相手は以前より警戒して対策を考えるのも当然です。

衝動ですることはほとんどが極端で思い切った姿になるため、相手に与える衝撃もまた強い事実を、忘れてはいけません。

冷静さが自分のその後を決める

誰だって、相手から拒否されている自分を突然知ればショックを受けるし、動揺は隠せません。

「どうして」「何でこんなひどいことを」と相手を責める気持ちも生まれるし、傷つけられた痛みを相手は何とかするべきだと考えます。

だからといって衝動で何かをすれば現状は悪化することがほとんどであり、「そこまでする相手」が自分の望む結果を叶えてくれる可能性が低いことは、冷静になって想像すればわかるはずです。

行動を起こす前に「その結果自分はどうなるか」を考えること、より悪い状態がわかるのなら何もしないこと、その選択がこの後の現実を良くしていくことを、忘れたくないですね。

堪える力は、何よりも自分を救います。

冷静な思考を取り戻してこれからを考えていく姿勢が、どんな場面でも「今より悪くなる」現実を防ぎます。

衝動は誰もが抱えるものであり、動くときはその結果すら想像しないという人も多いでしょう。

その姿が依存と映り、余計に遠ざけたくなる相手の気持ちもまた、自分がコントロールできるものではありません。

「何もしない強さ」は、今後の展開を良くする希望です。衝動に負けず、自分を大切にする行動を心がけたいですね。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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