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2023年8月、ムエタイ(タイ式キックボクシング)のWMCフライ級王者決定戦で、高橋稀涼(たかはしきりょう)さん(19)は判定勝ちを収め、全日本王者に輝いた。激戦の末、3回にダウンを奪ってつかみ取った初タイトル。黄金のベルトを肩にかけ、「率直にうれしい」と笑顔を見せる。
ムエタイは両親の勧めで小学1年の時に始め、「試合に勝つまでは」と続けるうちにのめり込んだ。3分5ラウンド、高度な技術でせめぎ合う「駆け引きが面白い」と魅力を話す。
現在は茨城県日立市助川町で両親が経営する「シリラックムエタイジム」に所属し、プロ選手として活動。ジムでは小学生を中心にジュニア選手の指導にも当たる。
中学時代から、休暇を利用して本場のタイを訪れ、現地のジムに寝泊まりしながら経験を積む機会を大切にしてきた。「タイ選手は練習量もレベルも全然違う。きついけどそれが楽しい」。武者修行はコロナ禍を経て既に再開させた。
得意技はミドルキック。相手の体を「輪切りにするようなイメージ」で、横っ腹に鋭く右足を打ち込む。テープで何重にも補修されたジムのサンドバッグが、その威力を物語る。
次戦は今年2月に東京・後楽園ホールで予定。「夢は諦めなければ絶対にかなう」と信じて歩みを進めてきた。「世界のベルト」を目指し、今日も父親が手作りしたリングで汗を流す。
【メモ】茨城県日立市立宮田小、駒王中出身。練習前の夕方、国道6号やけやき通りなど市街地を2周(10キロ)走るのが日課。趣味はバイクいじり。