政治刷新本部議論「絵に描いた餅」にならぬよう

 自民党派閥による政治資金パーティーをめぐる裏金作りなど政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載など)罪への東京地検特捜部の立件が注視される中、自民党は岸田文雄総裁直属の「政治刷新本部(本部長・岸田総裁)」を設置し、11日初会合を開いた。

 今月中に審議の中間報告を行うとしているが、どこまで実効性あるものを打ち出すのか「やってる感」にとどまらないか、本部の顔触れに疑問の声もあがっている。

 2014年に政治資金規正法違反の疑いが報道され、複数のハードディスクが家宅捜索前に電動ドリルで破壊されていたことから「ドリル優子」の異名までついた小渕優子選対委員長やフランスへ研修の際のエッフェル塔をバックにした写真に批判を浴びた安倍派の松川るい参院議員ら安倍派議員が10人入っていることや「派閥は必要」とする麻生太郎副総裁が本部最高顧問についているなどが本部会議の成果に疑問をつける背景にある。

 そもそも自民党は2022年5月31日の「党ガバナンスコード」(基本原則5:党運営の新たなルールの確立の3)で「党所属の国会議員の政治資金の取り扱いなどに関するコンプライアンス上の疑義があった場合、疑念を持たれた議員は、政治資金規正法及び政党助成法等の趣旨に則り、国民に対して丁寧な説明を行う。また本党は、党則、規律規約及び倫理憲章に基づき厳正にこれに対処する」との立派な規定を設けている。

 にも拘わらず、安倍派議員の中には数千万円にのぼるキックバックを受けながら政治資金収支報告書に記載しなかったり、虚偽記入した可能性が言われている。元文科副大臣の池田佳隆衆院議員=比例東海=は今月7日、政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

 自民党は逮捕を受けて池田議員を除名処分にしたに過ぎない。国民に事実関係を説明させる対応をしなかった。党自身がガバナンスコードを履行していないといえよう。中間報告が政治清浄化にとって「絵に描いた餅」にならないよう、注視が必要だ。(編集担当:森高龍二)

自民党は岸田文雄総裁直属の「政治刷新本部(本部長・岸田総裁)」を設置し、11日初会合を開いた

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