たった5分のYouTube動画から生まれた大ベストセラー小説が待望の映画化!ダウン症の弟と兄の絆を描く感動の青春ドラマ『弟は僕のヒーロー』

『弟は僕のヒーロー』© 2019 PACO CINEMATOGRAFICA S.R.L. NEO ART PRODUCCIONES S.L.

「弟のジョーは、特別な子だよ!」

北イタリアの小さな村を舞台に、ダウン症の弟と兄の絆を描くハートフルな映画『弟は僕のヒーロー』が本日、1月12日(金)より全国順次公開中だ。

かつて両親から「弟のジョーは、特別な子だよ!」と聞かされたジャックは、“弟は特別な能力を持ったスーパーヒーローに違いない”と確信する。「ジョーは他の人より子供の時間が長いかもしれない」と聞けばピーターパンみたいだと喜び、くっついた足の指を見るとミュータント・タートルズみたいだと目を輝かせる。そうしてジャックは率先して弟の世話を焼きながら、仲良く一緒に成長していった。

しかし、弟はダウン症なのだと理解するようになったジャックはジョーの世話から逃れるため、村から離れた都会の高校に入学する。そこでアリアンナという女の子に恋をしたジャックは、彼女や学校のみんなに弟の存在を隠そうと、小さな嘘に始まり、やがてシャレにならない残酷な嘘をついてしまう。嘘を上塗りしていくジャックは、やがて弟と家族を裏切るとんでもない事件を引き起こしてしまい……。

ある兄弟のYouTube動画から始まった実話ベースの感動物語

真実の輝きと力強さに満ちた本作は、実話を元にした物語。2015年3月21日の「世界ダウン症の日」に、イタリアに住む高校生のジャコモ・マッツァリオールが、ダウン症の弟ジョヴァンニを主人公に据えて一緒に撮影した5分半のショートムービー『ザ・シンプル・インタビュー』をYouTubeに公開するや、瞬く間に反響を呼び、主要各紙が取り上げるなど大きな話題となった。

それが大手出版社の目に留まり、ジャコモが自分と弟の物語を執筆。2016年に出版された青春小説「弟は僕のヒーロー/原題:Mio fratello rincorre i dinosauri dinosauri(訳:僕の弟は恐竜を追いかける)』は、ヨーロッパ各国で翻訳出版され、スペインのエル・パイス紙は2017年で最も興味深い児童書に選出した。日本でも装画を絵本作家ヨシタケシンスケが担当した邦訳版が小学館より刊行されるなど、現在までに25万部を超えるベストセラーになっている。

ダウン症の子を持つ家族の葛藤や奮闘、喜びや困難もリアルに捉える

ジャックが村を出て町の高校への進学を希望したとき、家族は多数決をとることにする。パパは賛成、ママは反対、姉妹も加わり2対2に票が割れ、残るはジョーだけ。当然、大好きな兄と過ごす時間が減るため反対するかと思われたが、なんとニッコリと笑って賛成したのだった。

ジャックが“最低な自分”を見つめ直してからの気付きと変化によって、何物にも代えがたい家族の絆が炙りだされていく。とくに、世界を敵に回したジャックを救うのが弟のジョーというのが最大のポイント。大好きな兄に真っ直ぐ向けられた信頼と思慕、その言動や表情に胸を突かれずにいられない。まさにジョーは正真正銘、絶体絶命のピンチから兄を救った“ヒーロー”なのだ。

大人になるって少し怖くてしんどくて……それでも素晴らしい!

役者陣の魅力も光る本作。一家の父親役には、イタリアを代表する人気俳優アレッサンドロ・ガスマン。近年も『泣いたり笑ったり』で新境地を開いたばかりの彼が、妻や子供たちを分け隔てなく愛し、時に感情を爆発させながらも家族の幸せを守ろうと奮闘する、実に人間臭い父親を好演している。母親役には、本作でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演女優賞にノミネートされたイザベラ・ラゴネーゼ。なんともイタリア人らしい陽気で愛情深い両親の魅力が、土台をしっかり支え、物語をより輝かせる。また、悩み多きジャックの恋に何度も助言を与える叔母を演じた、ペドロ・アルモドバル監督作品常連のスペインの女優、ロッシ・デ・パルマも強い印象を放つ。

そして本作で最も注目を集めるのが、思春期における少年の愚かさと残酷を体当たりで演じたジャック役のフランチェスコ・ゲギと、ピュアな心を持ち続ける愛に溢れたジョー役の、実際にダウン症のあるロレンツォ・シストの若手俳優の2人。演技とは思えない存在感やその伸びやかさは、観る者の心に長く残るだろう。

終盤、父親から「大人の世界へようこそ」と抱きしめられる一連のシーンは、ジャックの心の奥底に沈み込んでいた“怖れと愛”に気付かされ、ハッと胸を打たれずにいられない。大人になるって、やっぱり少々しんどい。だけど、それこそが青春映画の神髄だ。本作は第76回ヴェネツィア国際映画祭<ヴェニス・デイズ>部門にて上映され、第65回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞ヤング・ダヴィッド賞を受賞するなど、旋風を巻き起こした。「多様性」が叫ばれながらも様々な根深いしがらみに囚われている日本でも、多くの観客の心にダイレクトに訴えかけてくれるだろう。

『弟は僕のヒーロー』は2024年1月12日(金)よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー

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