茨城の東海第2原発、工事完了9月「厳しい」 原電社長

取材に答える日本原子力発電の村松衛社長=水戸市千波町

日本原子力発電(原電)の村松衛社長は11日、9月に予定する東海第2原発(茨城県東海村)の安全対策工事の完了時期について「非常に厳しい状況」との認識を示した。防潮堤工事の不備が昨年判明し、現在も工事が中断していることが主な要因。同県水戸市内で開かれた原子力事業者の会合後、記者団に答えた。

一方、9月に工事完了を目指す方針は「維持する」として、変更しない考えを強調した。

東海第2原発では昨年6月、防潮堤の基礎部分の工事で、柱の強度を向上させるためのコンクリートが複数箇所で充塡(じゅうてん)されていないことが判明。骨格となる鉄筋の変形も確認された。原電は一部の工事を中断した上で、柱の調査を進めていた。

不備について、村松社長は、周囲で作業していた掘削機の荷重により、土砂が崩落して柱内部にたまったことが充塡されない原因との認識を示した。別の柱についても調べており、詳しい調査内容や今後の方針については12日に公表するとした。

工事については「工期ありきではなく、安全最優先で対応していく」と強調した。原発再稼働を目指す時期については「未定」とした。

東海第2原発では安全性を向上させるため、敷地の3方を囲む防潮堤をはじめ、国の新規制基準に基づく工事を進めている。原子炉を冷却する電源の喪失に備える常設代替高圧電源装置、緊急時に原子炉や格納容器などを冷やす水をためる代替淡水貯槽などを設置する。

村松社長は東海第2原発で昨年10~11月の10日間に発生した3件の火災について、「非常に重く受け止めた」と述べ、11月に全ての安全対策工事を中断し、作業手順などを一つずつ確認したと説明した。

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