「複利効果」とは何か? 単利と複利の違いを構造的に理解してみよう

よく「複利効果」という言葉を目にすると思います。なぜこのような効果が生じるのかを、単利との違いは何なのか、などについて解説します。


単利と複利の計算方法を見てみると

まず単利と複利の違いを構造的に考えてみましょう。そのためには計算過程を比較するのが一番です。

最初に単利の計算について見てみましょう。利率は年3%、元本100万円、運用期間を10年として考えてみたいと思います。

1年目・・・・・・100万円×3%=3万円

2年目・・・・・・100万円×3%=3万円

3年目・・・・・・100万円×3%=3万円

10年目・・・・・・100万円×3%=3万円

このように毎年、元本である100万円に3%の利率を掛けたものが利息として得られるのが単利計算です。結果、10年間で得られる利息は3万円×10年=30万円になります。したがって10年後の元利合計金額は130万円になります。

一方、複利はどうなるでしょうか。

複利とは、上記の事例で言うと、1年間の運用で得られた3万円の利息を元加(元本に加える)することによって、2年目の運用は103万円を元本として、それに3%の利率を掛けます。

1年目・・・・・・100万円×3%=3万円

2年目・・・・・・(100万円+3万円)×3%=3万900円

3年目・・・・・・(100万円+3万円+3万900円)×3%=3万1827円

10年目・・・・・・(100万円+3万円+3万900円+3万1827円+3万2782円+3万3765円+3万4778円+3万5822円+3万6896円+3万8003円)×3%=3万9143円

その結果、10年後に得られる利息は合計で約34万3900円になり、元利合計額は約134万3900円になります。

1年複利で運用した場合、このように単利運用した場合に比べて、10年後に受け取れる利息が約4万3900円も多くなります。これが「複利効果」と称されているものです。

電卓で複利計算をする方法

複利計算は簡単にできます。もちろん表計算ソフトを用いれば簡単に数字を出すことができますが、ここでは電卓で簡単に算出する方法を解説します。

たとえば年3%で1年複利だとしたら、3÷100+1と打ち込みます。これで1.0300という結果が表示されるはずです。

次に×を2回打ち込み、=を推すと、1.0609という数字が出てきます。これが1年複利で2年間運用した時の係数です。これに100万円を掛けると、106万900円という数字が出ます。

では、10年後の複利はどうやって計算できるのでしょうか。これも非常に簡単で、1.0300に×を2回打ち込み、=を9回打ち込みます。これで10年複利運用の係数である1.3439が算出されます。これに100万円を掛けると、10年間、1年複利で運用した場合の元利合計金額である134万3900円が算出されます。

次に、半年複利を求めてみましょう。複利計算は1年複利だけでなく、半年複利の商品もあります。つまり半年ごとに生じる利息を元加したうえで、一定期間運用するというものです。

前出と同じ条件で計算してみましょう。元本100万円で年利率は3%です。半年複利の場合、3÷200+1と打ち込みます。すると1.0150という係数が算出されます。これは半年運用した場合の数字です。

これを1年間運用した場合の数字を出すためには、×を2回打ち込みます。

  • 1.0150××=1.0302

このようになるはずです。これに100万円を掛けると、半年複利で1年間運用した場合の元利合計金額である103万200円が算出されます。

同じ要領で10年間、半年複利で運用した場合の元利合計金額を求めるには、1.0150で×を2回押し、さらに=を19回押し続けます。そうすると1.3469という数字が出てくるはずです。これに100万円を掛けると、10年間半年複利で運用した時の元利合計金額である約134万6900円が算出されます。

複利は計算期間が短くなるほど効率が上がる

ところで上記の数字を見て「あれ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。そうです。同じ3%を10年間、複利運用する場合、1年複利と半年複利とで比べた場合、複利の計算期間が短い後者の方が、元利合計金額は幾分か多くなるのです。つまり同じ利率、同じ期間で運用するとしても、1年複利よりも半年複利、それよりも3カ月複利、さらには1カ月複利というように、複利の計算期間が短くなればなるほど、満期時点で受け取れる元利合計金額は大きくなるのです。

ちなみに半年複利で運用できる金融商品は、銀行が扱っている預入期間3年以上の「スーパー定期」、郵便局が扱っている「定額貯金」が代表的です。また1カ月複利になると、純粋な複利ではありませんが、たとえば証券会社などが扱っているMRFは、1カ月の運用期間中に得られた分配金から税金分を差し引いた残りを元加して運用します。

複利運用効果は、このように複利の計算期間が短くなるほど効率が高まりますが、その他にも、運用資金の額が大きくなるほど、あるいは適用される利率が高くなるほど、運用効率が高まる傾向もあります。

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