危険ドラッグで搬送50人 23年沖縄県まとめ 前年の12倍以上、4割が観光客

 危険ドラッグによる健康被害が疑われる事案で、2023年の1年間に沖縄県内で50人が救急搬送されていたことが分かった。県のまとめによると4人だった22年の12倍以上に急増し、特に若者の搬送が目立つ。未成年が摂取後に意識を失ったとみられる事案もあった。

 年代別では20代が最多の25人、次いで30代が15人、20歳未満と40代がそれぞれ4人と続いた。30代以下が全体の約9割だった。

 性別は男性41人、女性9人。20人が観光客で、全体の4割を占めた。

 ある10代の少年は本島南部の畑で倒れているのが見つかり、搬送された。少年は「合法の大麻リキッドを吸引した」などと説明したという。40代の観光客が空港で体調不良を訴え、救急搬送されたケースも確認されている。

 危険ドラッグはいわゆる「大麻グミ」やクッキーなどの食品のほか、電子たばこ機器を使用して吸引するリキッドなどさまざまな形で販売されている。

 九州厚生局沖縄麻薬取締支所と県は23年11月以降、県内にある複数の危険ドラッグ販売店舗を立ち入り検査するなど、取り締まりを強化している。県衛生薬務課は「危険ドラッグは『完全合法』などとうたって販売されているが、深刻な健康被害を生じさせる恐れがある。購入や使用はやめてほしい」と呼びかけている。(社会部・矢野悠希)

危険ドラッグの搬送人数(年代別)

© 株式会社沖縄タイムス社