フリーレンが風邪をひいたフェルンにとった“優しい行動”に、視聴者から共感の声あふれる「安心するよね」

2024年1月5日に放送されたアニメ『葬送のフリーレン』第17話では、風邪をひいて熱を出してしまったフェルンをフリーレンたちが看病することに。つらそうな表情を浮かべるフェルンを見て、フリーレンは彼女の手をそっと握る。その何気ない行動には、かつて自身が勇者ヒンメルからもらった“優しい思い”が込められていた……。放送後のSNSでは、フリーレンの“看病”に実体験を重ねる視聴者が多出。「子どもたちが熱を出した時、握ってた!」「手を握ってもらうと安心するよね」など、共感の声であふれた。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

■ほんの少し前までは……

勇者ヒンメルの死去から29年。ザインと別れて再び3人での冒険に戻ったフリーレン一行は、真っ白な雪道が続く北側諸国オッフェン群峰を進む。目的地である魔法都市オイサーストは、いまや目前だった。

ところがある日、長旅の疲れかフェルンが風邪をひいて寝込んでしまう。フリーレンは「そういえば……」と、かつて勇者一行の旅でヒンメルたちと薬草を採取した場所が近くにあったことを思い出す。80年前の記憶を頼りにフェルンを抱えながら山道を進むと、そこには小さな牧場があった。フリーレンによれば、以前この場所は村だったというが……。兎にも角にも牧場主の女性に事情を話すと、フェルンのために温かな寝床を用意してくれた。

「待っててね、フェルン。薬の材料を採ってくるから」。フリーレンはそう言いながら、ベッドの脇に腰掛けている。ここへ来てからずっと彼女はフェルンの手を握っていた。ふと、シュタルクがワケを尋ねる。“戦士の村”で厳しい父親の元に育ったシュタルクには、“その経験”がないのかもしれない。フリーレンはフェルンの手を握ったまま、優しい表情で答えた。「フェルンは風邪をひいた時、手を握ってあげると安心するんだよ。小さい頃からそうなんだ」直後、顔を真っ赤にしたフェルンがフリーレンの手をほどいてそっぽを向いた。「恥ずかしいです。子ども扱いしないで……ください」。背中越しに言われたその一言に、フリーレンは「……そっか。そうだね」と、前傾姿勢だった座り方をそっと元に戻すのだった。

「……ちょっと前まで、このくらいの女の子だったんだよ」。薬の材料を採りに出かけたフリーレンが、かたわらのシュタルクに身振り手振りで伝える。フリーレンが僧侶ハイターを訪ね初めてフェルンと出会った頃、彼女はまだ髪も短く、少女という言葉がぴったりだった。背もフリーレンの方がずっと高かった。「……私の中ではね、フェルンはまだ子どもなんだよ。たぶんこの先も、ずっとそうだ」。親心にも似た気持ちを吐露するフリーレンに、シュタルクはかける言葉を見つけられずにいた。

「何か隠したね。怒らないから見せなさい」 2人で旅を始めたばかりの頃はフェルンをたしなめるような場面もあった(画像は第2話より引用)
不意に頭をなでてあげることも(画像は第3話より引用)

◆心の支え

雪道に苦戦しながらも、順調に薬の材料を集めていったフリーレンたち。残すは『氷柱桜(つららざくら)』の木の根に生えたキノコのみとなった。真っ白だった雪山の風景は、いつしかオレンジ色に染まっていた。やがて目的の場所へとたどり着いた2人を、薄桃色の小さな花をいくつも咲かせた枝垂れの木が出迎える。フェルンにも見せてあげたかったと、フリーレンは思った。

彼女はフェルンを子ども扱いしたつもりはなかった。ただ、フェルンがつらそうだったから握っただけ。それしか苦痛を和らげてあげる方法を知らなかった。「……私はどうすれば良かったんだろうね」。寂しそうに笑うフリーレンの横顔を見て、シュタルクは感じるままに話し始めた。「だったらもうやりたいようにやるしかないんじゃないか?少なくとも師匠はそうしていたぜ。たぶん人には“心の支え”が必要なんだ。支えてもらって、悪い気分になる奴はいねえよ」

氷柱桜を見上げるシュタルク 彼の言葉はフリーレンのある思い出を呼び起こした

シュタルクのその言葉にフリーレンはハッとする。それは、いつかどこかで聞いたことのある言葉だった。……昔、まだ勇者一行の旅を続けていた頃、今のフェルンと同じようにフリーレンも熱を出して寝込んだことがあった。ふと気づくと、その手を勇者ヒンメルが握っていたのだ。
フリーレンが目を細めたまま「何のつもりか」と尋ねると、ヒンメルは小声でこう答えた。「うなされていたから。風邪の時は心細いからね」。彼が幼いころに亡くした母親が、同じようによく手を握ってくれたという。そのたびに、彼は不思議と心が落ち着いたそうだ。「子どもの頃の話でしょ?」。息を整えながらフリーレンが淡々と返す。するとヒンメルは1000年以上を生きるフリーレンの手を握りながら言った。「“心の支え”が必要なのは子どもだけじゃない。悪い気分ではないだろう?」。その優しいほほ笑みを見てフリーレンは、そっと目を閉じた。「……そうだね。悪くないかも」。
……「たぶんフェルンが恥ずかしがっていたのは俺がいたからだ。甘えている姿なんて人に見られたくなんかないよな」。シュタルクの言葉、そしてヒンメルとの思い出を胸に、フリーレンは意を固める。目的のキノコを収穫し、急いで薬を完成させるとフェルンのもとへと戻る。シュタルクは気をつかってか、牧場主の女性を手伝いに行った。部屋にはフリーレンとフェルンの2人きり。「大丈夫だよ。すぐに良くなるから」。かつてのヒンメルのように、フリーレンはまたフェルンの手を優しく握る。そして「私はもう子どもでは……」と小さな声で訴えるフェルンに、今度は「知ってる。……知っているよ」と、凛としながらも穏やかに語りかけるのだった。

フリーレンの優しい行動の原点には、いつも勇者ヒンメルの存在がある(画像は第17話Aパートより引用)

■フェルンの手を握るフリーレンの優しい姿に、視聴者から感動と共感の声

フェルンから「もう子どもじゃない」と言われて一度は身を引きながらも、シュタルクの言葉とヒンメルとの思い出から「心の支えは誰にも必要である」と気づき、再びフェルンの手を握ってあげたフリーレン。実際の親子のような、その一連のシーンに、視聴者からは「優しさが胸に染みる」「目が潤んできた」と感動の声が上がった。

また実際に子どもを持つ親や、自身の幼少期を思い出し「子どもたちが熱を出した時手にぎっていたな!」「『子どもはいつまでも子どもだ』と言う母の言葉が重なり、ジーンとしました」など、実体験を重ねる視聴者も多かったようだ。

そしてヒンメルの「心の支えが必要なのは子どもだけじゃない」というセリフにも反響が。「こういうところが本作品の良さ」「イケメンすぎる」「ヒンメルは聞いてて救われる言葉を言ってくれる」と、またもその“株”を上げていた。

次回はいよいよ新章突入。『葬送のフリーレン』第18話「一級魔法使い選抜試験」は、1月12日(金)「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」(全国30局ネット)にて放送予定。

画像提供:©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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