「べっちょない」「雨ぴりぴり」「気ばりやぁ」 篠山弁のLINEスタンプ登場 兵庫・丹波篠山

「なにしよんじょ~」「べっちょない」など篠山弁を用いたLINEスタンプ=丹波篠山市立歴史美術館

 無料通話アプリLINE(ライン)に、篠山弁をしゃべる江戸時代の庶民らの姿をあしらったユニークなスタンプが登場した。兵庫県丹波篠山市指定文化財「篠山春日御社図(おんしゃのず)」に描かれた絵柄を基に作成。「もういんでんけ(もうお帰りですか)」「気ばりやぁ(頑張ってください)」など、家族や友人らとのやりとりに使える24パターンがセットで、担当者は、「丹波篠山や春日神社の秋祭りの魅力をもっと知ってもらえたら」とアピールしている。(堀井正純)

### ■歴史美術館のスタッフら考案 江戸期の庶民の姿あしらい

 「篠山春日御社図」は、幕末の1850年につくられた和とじの絵本で、篠山城下町にある春日神社(同市黒岡)のにぎやかな祭礼がモチーフ。華麗な鉾(ほこ)山や祭りに興じる町衆の姿を肉筆彩色で生き生きと表現している。

 LINEスタンプは、絵本から鉾山やみこし、獅子舞、町衆らの図を抜き出して、「べっちょない(大丈夫です)」「なんじょー、あかんのこー(え、ダメなんですか)」など、篠山弁のせりふを添えた。

 企画作成したのは、「篠山春日御社図」を収蔵する市立歴史美術館(同市呉服町)を運営する一般社団法人「ウイズささやま」のスタッフ。地元出身者が集まり、扱う方言を選んだ。同館の大西由喜学芸員は「最近は地元でも、篠山の方言を知らない若い子が増えてきた。失われゆく方言文化を守る意図も込めた」と説明する。

 同法人はこれまで、市文化財の絵巻物「鼠草紙(ねずみそうし)」に登場するネズミのキャラクターを用いたLINEスタンプ2種類も販売し、好評を得ている。

 今回扱った篠山弁は、ほかに「いっかどやるやれ(一人前にできるじゃないですか)」「雨ぴりぴりしとんで(小雨が降っています)」「さんこにしなや(散らかしたらだめですよ)」「ふいふいする(熱などでふらふらする)」など。祭りのかけ声「よぉいさんじゃ」も取り上げた。

 大西学芸員は、「篠山弁の素朴さや、とぼけた雰囲気、愉快な絵柄を楽しんで。地元出身者のUターンのきっかけになったらうれしい」と話している。

 価格は1セット120円。LINEのスタンプショップで「篠山弁が楽しい『篠山春日御社図』の人々」の名称で販売中。同館TEL079.552.0601

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