スペースX、スマホと直接通信可能な「スターリンク」衛星を打ち上げ KDDIもサービス提供予定

アメリカの民間宇宙企業スペースXは日本時間2024年1月3日、第2世代スターリンク衛星「Starlink V2 Mini」21機の打ち上げに成功しました。スペースXによると、21機のうち6機は携帯電話と直接通信可能な機能「Direct to Cell」を備えているということです。今回の打ち上げは、スペースXにとって2024年初の打ち上げとなりました。

【▲ ヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられるファルコン9(Credit: SpaceX webcast )】

21機のスターリンク衛星を搭載した「ファルコン9」ロケットは日本時間2024年1月3日12時44分(太平洋標準時2024年1月2日19時44分)、米国カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地第4発射施設の発射台(SLC-4E)から打ち上げられました。第1段機体は今回が1回目の飛行で、発射から約8分後にドローン船「Of Course I Still Love You」号への着陸に成功。スペースXによると、打ち上げから約1時間後に衛星の分離を確認したということです。

スターリンクを利用した直接通信サービスは、特定の通信キャリアと契約しているユーザーの携帯電話とスターリンク衛星が直接繋がり、テキストや音声などのやりとりが可能になる機能です。スターリンクを活用したサービスを提供する通信事業者は、米国のT- Mobile、オーストラリアのOptus、カナダのRogers、ニュージーランドのOne NZ、スイスのSalt、チリとペルーのEntel、日本のKDDIが予定されています。

【▲ 今回搭載されたスターリンク衛星「V2 Mini」(Credit: SpaceX Twitter )】

2023年8月30日、KDDIはスペースXと衛星直接通信サービスの利用に向けて業務提携したことを発表しました。KDDIによると、このサービスによりauのスマートフォンは空が見える状況であれば、山間部や島しょ部を含む圏外エリアでも通信することが可能になるということです。サービスを利用するために追加の機器やアプリは必要とせず、既存のスマートフォンで使用できるとされています。また、KDDIはサービス開始の目処を2024年内としており、まずはSMSなどのメッセージ送受信から対応し、音声通話やデータ通信にも順次対応していくと発表しています。

スペースXがX(旧Twitter)で行った打ち上げ中継に出演したスペースXのエンジニアKate Tice氏によると、直接通信に対応した6機の衛星は従来のスターリンク衛星と比べて地上からはより明るく見えるということです。そのため、反射光の明るさをできるだけ抑えられるようにハードウェアを調節する前に、天文学者と協力して天体観測への影響を検討する予定だと述べました。

Source

  • SpaceX \- STARLINK MISSION
  • SpaceX \- STARLINK DIRECT TO CELL
  • KDDI \- KDDIとスペースX、衛星とスマホの直接通信サービスを提供
  • KDDI \- スペースX、スマホとの直接通信が可能な衛星の初打ち上げに成功
  • SpaceNews \- SpaceX deploys direct-to-smartphone satellites in first launch of 2024
  • Spaceflight Now \- SpaceX’s first Falcon 9 launch of 2024 features first 6 direct-to-cell Starlink satellites
  • Space.com \- SpaceX launches 1st batch of 'direct to cell' Starlink satellites (video)

文/出口隼詩 編/sorae編集部

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