作家6人が非日常空間 茨城・石岡の2公園で芸術祭 「チョウ」舞う演出も

「風の花びら」の前で写真を撮る来場者ら=石岡市下青柳

アートの力で多くの人を招き寄せ、地域の魅力を再発見してもらう芸術祭が、茨城県石岡市下青柳の「いばらきフラワーパーク」と、同市染谷の「常陸風土記の丘」の両公園で開かれている。作家6人が個性あふれる多彩な手法を駆使し、屋外にモビール2000本を立てることで多くのチョウが舞うような風景を生み出したり、室内いっぱいに大きな猫が寝そべる立体作品を展示したり、それぞれの空間を楽しく演出している。

芸術祭「アートスケープ」に参加するのは、武蔵野美術大准教授の小松宏誠さんら作家6人。それぞれの公園の特色や環境を生かした作品によって、日常とは異なる空間をつくり出している。地域の自然や歴史に改めて目を向けてもらうのが狙いだ。

小松さんは、いばらきフラワーパークの「グリーンヒル」に「風の花びら」と題し、高さ1メートル前後の針金の上にピンク色の「花びら」を付けたモビール2000本を立てた。「花びら」は風や光を受けて表情を変えながら虹色に輝き、チョウが舞うような幻想的な世界が広がる。14日まで光による夜間演出も行われている。

常陸風土記の丘では、作家が公園内6カ所を歴史になじむ形で普段と異なる光景に変えてみせた。古民家の中に大きな猫が寝そべる立体作品のほか、天然のクモの巣を額装して着色した作品や、竪穴住居の復元遺跡の中に透明な水風船を積み上げたインスタレーションなどを展示している。

いばらきフラワーパークを訪れた同市、関陽成さん(20)は「遠くから見えて目を引かれた。近づくとまた違った景色できれい」と感想を話した。関係者は「石岡の自然・文化と現代アートの融合。里山の魅力を満喫してほしい」と強調、来場を呼びかけている。芸術祭は2月25日まで。

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