アンパンマン脚本家が母校で講師 夢をあきらめない大切さ伝える

アンパンマンを描くのは苦手という葛原さん

 

 テレビアニメ「それいけ!アンパンマン」の脚本家で、ファンから「神回」といわれる作品を次々生み出している葛原秀治さん(38)=東京=が、母校・浮田小学校(岡山市)のキャリア教育の授業で講師を務めた。葛原さんはこれまでの経験を振り返り、夢を最後まであきらめないことの大切さを子どもたちに伝えた。

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 10日に行われたキャリア教育の授業では6年生28人を前に、脚本家になるまでの道のりを語った。小学生の頃からひょうきんで人を楽しませるのが好きだったという葛原さん。高校時代、文化祭の劇の脚本を書き、大ウケしたことをきっかけに、映画制作を学ぶ東京の専門学校に進学する。

 専門学校の授業で最初に書いた原稿用紙2枚程度の脚本が講師に褒められ、自信につながった。卒業後はアルバイトをしながら、たまに脚本の仕事をもらう日々が10年続いた。寝ずに脚本を書いた後にアルバイトに行ったり、お金がない時は、「うまい棒」や「ガリガリ君」でおなかを満たしたりしていたという。それでもやめなかったのは「褒められた言葉がずっと胸に残っていて、『自分にはこれしかない』という思い込みがあった」とし、「今、脚本家ができているのは最後まであきらめなかったから」と話した。

 子どもたちには、勉強をして知識を増やすこと、あいさつをして人とのつながりを大切にすることをアドバイスした。最後に「『アンパンマン』も絵を描く人、声を吹き込む人、たくさんの人の力で作品が出来上がる。一人一人が何かのプロフェッショナル。みんなの周りにもすごい人がたくさんいる」と説明した。その上で、「大谷翔平選手はすごい野球選手だけど、アンパンマンの物語は書けない。そこは僕の勝ち」とおどけてみせた。

浮田小であったキャリア教育の授業

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