鶴岡市の致道博物館にある多層民家「旧渋谷家住宅」で11日、冬の風物詩「民家の火たき」が始まった。いろりの煙やすすで古民家を守る作業とされ、3月上旬まで続けられる。
作業を担当する太谷淳子さん(68)と工藤喜美さん(62)の2人が、この日午前10時から鍋をかけたいろりを囲んだ。竹や桜などのまきをくべ、火の勢いを調整。煙が立ち込める静かな室内で、ぱちぱちと火の粉のはじける音が響いた。太谷さんは「大切な建物を守る作業。いろりの火に心も癒やされる」と話した。
国指定重要文化財の旧渋谷家住宅は1822(文政5)年に現在の同市田麦俣に建てられ、1965(昭和40)年に移築された。火たきは、かやぶき屋根に入り込む害虫の駆除などに効果があるとされ、期間中は毎週木、日曜に行う。来場者は見学できる。