モリゾウこと豊田章男トヨタ会長、東京オートサロン2024で新たなエンジン開発プロジェクトに言及「未来のために仲間を守る」

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は1月12日〜14日に千葉県千葉市の幕張メッセで開催されている東京オートサロン2024に出展。開催初日となった12日午前9時30分より、モリゾウ氏(トヨタ自動車の豊田章男代表取締役会長)が登壇する『モリゾウから新年のご挨拶』と題したプレスカンファレンスを実施した。

 プレスカンファレンスに登壇したモリゾウ氏は「まずは、能登半島で発生しました大地震、並びに飛行機事故によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます」と、1月1日に発生した能登半島地震について言及。

「元旦に富士スピードウェイで初日の出を見て、ニューイヤー駅伝の(トヨタ自動車の8年ぶりの)優勝に喜んだのもつかの間。大地震により深い悲しみからスタートする2024年になりました。13年前の東日本大震災のときに被災地の方からかけられた言葉がございます」

「『元気な地域や、会社の人たちが、被災した地域の分まで頑張って日本を支えてください』。今の日本には、クルマを動かす550万人のたくましい現場があります。被災された方々が、1日も早く日常と笑顔を取り戻せるよう、550万人の仲間とともにモリゾウ自身も動いてまいります」

「今こそ、対立や分断、争いや誹謗中傷をやめ、お互いに助け合い、笑顔でありがとうと。そんな大人の姿を見せるときだとモリゾウは思っております。東京オートサロンは、クルマ好きが、クルマを囲んで、笑顔に包まれるお祭りです。ここで生まれた笑顔は、自動車産業の元気に繋がってまいります。その元気を日本全体の元気に繋げていきたい。本日はそんな思いで新年のご挨拶をさせていただければと思っております」

東京オートサロン2024初日、プレスカンファレンスに登壇したモリゾウ氏

 続いて、「クルマ好きのみなさん、一緒に未来を作りましょう」という言葉とともに、2023年にモリゾウ氏が1年をかけて取り組んだ3点について語られた。ひとつめは『未来の仲間を作ること』。未来の主役である子供たちにクルマの楽しさを感じてもらうべく、モリゾウとして全国のレースやラリーに出場した際に、各地の小学校に訪問していたと映像とともに明かした。この取り組みは2024年も行われるようだ。

 ふたつめは、『国を超えた仲間づくり』。台湾、フィリピン、タイでクルマの祭典を開催し、フィリピンとタイにはモリゾウ氏も自ら現地入りし「とにかく現地はクルマに対する思いが熱い」と感じたという。

「どの国も、自動車産業への期待があるのではないかと思っております。その期待があるからこそ、あの熱さがある。一方、日本では期待どころか、この産業を衰退させたいんじゃないかと思えるようなことばかり言われてるような気がします。カーボンニュートラルの山の登り方は、国や地域によって違います。ただ、共通して必要なのは、クルマへの想いなんじゃないでしょうか?」とモリゾウ氏。

「海外には熱い思いを持った仲間たちがたくさんいることがわかりました。今年もモリゾウはそんな仲間を探したい。そして、会いに行きたいと思っております。正直そんな仲間に会えるモリゾウは元気になれるんです」

東京オートサロン2024初日、プレスカンファレンスに登壇したモリゾウ氏

 そして、三つめは「未来のために仲間を守ることでした」とモリゾウ氏は語った。

「カーボンニュートラルはバッテリーEVだけじゃないと3年前から水素エンジンにも取り組んでまいりました。昨年は液体水素に挑戦したり、ル・マンで走らせたり、なぜここに力を尽くしてきたか。それは仲間と一緒じゃないと、未来を作っていけないからです」

「550万人の中には、エンジン部品を作っている仲間たちもたくさんいます。日本を支え、これからの日本を強くしていく技を持った人たちです。この人たちを失ってはいけません。ですが、エンジンに関わる人たちは最近、銀行からお金を貸してもらえないこともあるそうです」

「そんなこと絶対にあってはならない。何とかしていきたいと思いました。そこでモリゾウは、トヨタにあるお願いをいたしました。カーボンニュートラルに向けた現実的な手段として、エンジンにはまだまだ役割がある。だから、エンジン技術にもっと磨きをかけよう」

「そして、そういうプロジェクトを立ち上げよう。佐藤恒治社長以下、経営メンバーたちもその提案に共感してくれて、新たにエンジン開発を進めていくプロジェクトがトヨタのなかで動き出しました。この時代にエンジン? 逆行しているように聞こえるかもしれませんが、決してそんなことはありません。未来に向けて必要なのです。エンジンを作ってきたみなさん、エンジンを作り続けましょう」とモリゾウ氏。

「ただ、トヨタは大企業、まだまだ時間はかかってしまうかもしれません。ご期待いただければと思います。私みたいにエンジンが大好きあの音と匂いがたまらないという人もいます。バッテリーEVがいいな。という人もいます」

「『今はハイブリッドだ』そういう人もいます。プラグインもあります。水素もあります。動力は何でもいいんです。真実はいつもひとつ。敵は炭素ということだけです。その上で、とにかくクルマが好きというみなさんに私は伝えたい。未来は、みんなで作るもの。私はクルマ好きのみなさんと、一緒に未来を作っていきたい。みなさん、一緒に未来を作ってまいりましょう」

プレスカンファレンスに登壇したモリゾウ氏
東京オートサロン2024のTOYOTA GAZOO Racingブースの様子
東京オートサロン2024 会場

■動画:TOYOTA GAZOO Racing プレスカンファレンス

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