青森県産リンゴ在庫、過去最少15万3千トン 2023年産、猛暑で高温障害多発

 青森県は11日、2023年産県産リンゴの23年12月末現在の産地在庫数量が15万3619トンだったと明らかにした。現在の調査方式となった1997年産以降で最少。夏場の猛暑により高温障害が多発し、生果の出荷量が少なかったことが主な要因とみられる。全体量が少ない中で出荷が前倒しで進んだこともあり、平年を25%下回る在庫数量となった。

 県内農協や出荷業者などが抱えている在庫数量を県が調査した。品種別に見ると、ふじは平年を26%下回る11万3936トン。このうち主力の無袋ふじは平年比26%減の9万1450トン、有袋ふじは同28%減の2万2487トンだった。王林は同19%減の1万6697トン、ジョナゴールドは同46%減の1万368トン。

 県りんご果樹課によると、猛暑の影響でリンゴ全体の果実肥大が鈍ったほか、つがるなどの早生(わせ)種で日焼け果が多発。ジョナゴールドや早生ふじといった中生種では収穫前の落果が目立ち、主力のふじもさび果や鳥獣被害が発生するなど減収要素が重なり、県が公表している予想収穫量43万6700トン(2023年8月時点)を大きく下回る見通しとなっている。

 一方、果物全体が品薄傾向で、県産リンゴは高値基調が続いている。今後、軟質化や変色など貯蔵中のリンゴの品質に昨夏の高温の影響が出る懸念があるが、同課の越後浩一課長代理は「主産県としてリンゴの周年供給体制を維持する役目がある。数量が少ない中でロスが生じないよう品質を見極め、良いものを選んで販売してほしい」と話した。

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