帝国劇場こけら落とし公演「風と共に去りぬ」のために制作された円谷英二監督作のフィルムが50数年ぶりに公開

テレ東系で1月13日放送の美術番組「新美の巨人たち」(土曜午後10:00。BSテレ東では20日午後11:30)では、2025年に年閉館が決まっているミュージカルの殿堂・帝国劇場を取り上げる。1966年に竣工した現在の建物がどのようなこだわりをもって作られたのかをひもといていく。今回のアートを訪ねる旅人=アートトラベラーは、一級建築士の試験にも合格した田中道子

帝国劇場の意匠設計を担当した建築家・谷口吉郎は、洋画家・猪熊弦一郎や陶芸の第一人者・加藤唐九郎などさまざまな芸術家や職人を設計段階から巻き込み、共に空間を作り上げた。番組では、その光と影の工夫へのこだわり、苦心と知られざる建築美に迫る。

施主側の責任者で、東宝の専務だった菊田一夫は、当時世界一の舞台機構を帝劇に備えるために全力を傾けた。菊田が世界一の舞台機構を目指した理由は、世界的名作「風と共に去りぬ」の舞台化だ。帝劇はまさにそのために作られた劇場といっても過言ではなかった。

権利元からは、有名なアトランタの脱出シーンを舞台で再現できなければ、許可が下りなかった。そこで、菊田が莫大な資金をかけて依頼したのが“特撮の神様”である円谷英二監督だ。円谷監督はその持てる技術を生かして見事な特撮映像を作り上げ、「風と共に去りぬ」のクライマックスシーンを舞台上に再現することに成功し、菊田は世界で初めて「風と共に去りぬ」を舞台化する権利を得た。その驚くべき舞台機構の数々を追う。

今回、長年保管されていた帝劇で初めて舞台化された「風と共に去りぬ」のクライマックスシーンのために、円谷監督が制作した幻の貴重なフィルムを50数年ぶりに放送する。さらに、1987年の「レ・ミゼラブル」の初演から、たびたび帝劇の舞台に立ってきた鹿賀丈史も登場する。

アートトラベラーを務めた田中は「普段建築として語られることが少ない帝国劇場ですが、今回、隅々まで帝劇の美を堪能させていただきました! 帝劇に何度も足を運んだ方でも、気付いていないところもあると思います。驚きの連続でした。ぜひご覧ください!」とメッセージを寄せている。

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