WHITE HOT、PURE ROLL…「インサート」から考える中古パター選び

インサートといえばこの赤いロゴがついたホワイトホット

打感に打音。パターほどフィーリングが重要視されるクラブはないだろう。フィーリングはヘッドやシャフト、グリップの素材でも変わるが、最も影響を及ぼすのはボールとの接地面、つまりフェースだ。ヘッドと同じ素材のもの、あるいは素材や形状を変えたインサートが装着されているものもある。今回はこのインサートについて考察してみよう。

20年も人気継続。ボールと同じ素材を使ったホワイトホット

打音と打感はインパクト時の音と衝撃をゴルファーにフィードバックし、インパクトの強さやストロークの幅に大きな影響を及ぼす。パターの打感はフェースの素材、フェース面の造作でかなり変わる。

左が初代ホワイトホット、右が最新のホワイトホット

インサートにボールと同じウレタンを使ったのがオデッセイの「ホワイトホット」だ。いまだに初代モデルを使い続けるゴルファーは少なくない。初代(2001年)からXG(2009年)、RX(2015年)、OG(2022年)などと20年に渡ってシリーズ化されている。初代はしっかりした打感というのが一般的だが、好みもあるので試打をして決めよう。

ヘッド形状の選択肢が多く、程度が良くて在庫も豊富なのが最新モデル「ホワイトホットOG」シリーズだろう。シャフトはスチールと、スチールとカーボン複合シャフトの2種類。スチール装着モデルだと1万5000円前後で見つかる。

“転がりが良い”は本当にメリットか

新しいパター発売時のうたい文句として印象的な“転がりが良い”というフレーズ。確かに転がりが良いと聞くと、ショートしがちなゴルファーにとって効果的に感じるが、“今までの距離感よりも転がってしまう”というデメリットもあることは冷静に理解しよう。

TR溝を搭載した「ヴォルト2.0」(左)と「カーステン TR パター ANSER2」(右)

転がりの良さではなく、打点がブレてもボール初速が変わらないように設計されたのがピンのTRインサートやTR溝。芯で打った場合の初速の速さを抑えているので慣れが必要だが、打点がブレる人には武器になる。TR溝の最終モデルが「ヴォルト2.0ヴォス プラチナム」(2018年)。ステンレス削り出しでしっかりした打感が特徴。発売当時は高価だったが現在は3万を切る価格となった。1万円を切りさらに手頃な「カーステン TR パター ANSER 2」(2014年)などもオススメだ。

突起物や細かい溝のインサート効果は転がりの良さだけに限らず

テーラーの「ピュアロール」(上)とオデッセイの「マイクロヒンジ」(下)

オデッセイの「ストロークラボ」、「オー・ワークス」や「EXO」に搭載されている「マイクロヒンジ・インサート」。テーラーメイドの「スパイダー」シリーズや「TRUSS」、「TPコレクション」に搭載される「PURE ROLL」などのインサートは、先述の順回転が速く始まる効果がある。また、フェース面に凹凸があるためボールとフェースの接地面が少なく、柔らかい打感を生む効果が得られる。

例えばオデッセイ「ストローク ラボ ブラック SEVEN」(2020年)は、マイクロヒンジ・インサートの完成形と言えるインサートが搭載されている。価格も1万円台前半とお手頃。大ヒットして高値を維持してきたテーラーメイド「TPコレクションJUNO TB1.5」(2021年)も2万円を切る価格となってきた。

マイクロヒンジスターインサート(左)とピュアロール(右)は共に人気

インサートのない削り出しパターはフェース面の形状が命

インゴットと呼ばれる金属の塊からヘッドを成型する削り出しパター。スコッティキャメロンが代名詞だが、ピンやテーラーメイド、ミズノなども作っている。コンピューター制御のドリルで削り出すために時間もコストも掛かるので高価。フェース面にはドリルの溝が肉眼でもハッキリと分かる。深い溝が掘られているフェースを「ディープミルドフェース」と呼び、平面精度を高める目的があるほか、溝が深いと接地面積が減ることで打感が柔らかくなる効果もある。

ディープミルド加工(奥)や鏡面仕上げ(手前)などそれぞれファンは多い(ヘッドは共にゴールドファクトリー)

もちろん、柔らかければ良いというものではなく、好みの問題だろう。タイガー・ウッズが長年愛用しているスコッティキャメロンのパターは、鏡のように滑らかな「鏡面処理」がされていて、打感は“しっかり目”。インパクト音も響く。

スコッティキャメロンのパターは、その年式によって溝(ミーリング)の深さが違う。インサートにアルミを使っているモデルもあるので、打感もかなり違う。最新が一番良いとは限らないので、いろいろ試して欲しい。筆者は「セレクト ニューポート 2」(2020年)が好みで、4万円台で見つかる。ピンの「PLD ミルド アンサー2」(2022年)も絶妙の溝の深さで、柔らかい中にも芯のある打感が楽しめる。3万円台後半から見つかるだろう。

ニューポート2(左)とPLDミルドアンサー2(右)は根強い人気

パターは転がる、転がらないではなく、自分のイメージと距離感が合うモデルを選ぶことが大切。マッチすると手放せない一本になるはず。まずは最新テクノロジーの宣伝文句に流れず中古ショップで実際に試打をして、フィーリングを確かめることをオススメしたい。(文・田島基晴)

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