無理なく自分を変える方法。失敗を恐れず、少しずつ進むコツ

「自分を変えたい」と思っても、何から始めればいいのかわからずそれでまたモヤモヤしてしまう。

「変わりたい」と思う気持ちを大切にするためには、極端な行動より小さな変化を成功させていくほうが、自信を育てます。

そして、新しい自分を作るには過去の経験を見ないフリで置かないことも重要です。自分を変えるきっかけはどう作ればいいか、お伝えします。

なぜ「変わりたい」のか

たとえば、大好きだった人に依存が原因で振られてしまい、「このままでは誰ともうまくいかない」と気がついて変わらなければと思う。

仕事の失敗をいつまでも引きずって新しい挑戦ができず、苦しむ自分から抜け出したい。

変わりたいと思うきっかけは、ネガティブな状態の自分に嫌気が差すからという人は多いのではないでしょうか。

それは、「これ以上悪い自分になりたくない」という踏ん張りであって、自分の姿をきちんと知るからこそ生まれる気持ちだと筆者は思います。

変わることをマイナスからのスタートと捉える人がいますが、本当のマイナスは「悪いと感じる自分」を放置することであり、変わりたいと思う時点で心の状態は前向きなはず。

なぜ「変わりたい」のか、それは今よりいい自分になりたいという希望であって、これから変化することを受け入れる器を自力で用意できていることを、忘れてはいけません。

何も変われなかったと後で苦しむ人の話を聞くと、スタートのときに「ダメな自分」を引きずったままであることが多く、変化を望む心を肯定できていない場合があります。

「変わりたい」と思うとき、心は前を向いています。

これまでの自分で受けた痛みはいったんそこに置いて、変化を受け止める器を持った自分をイメージしましょう。

無理なく自分を変える方法

「小さな変化」から始める

人付き合いがうまくいかない自分に悩み、「これからは自分から積極的に連絡していこう」と決めてLINEに登録してある友人たちにメッセージを送るけれど、期待したような色よい返事はなく、相手にされない自分を目の当たりにして改めて落ち込んでしまう。

自分を変えたいと思ったときにいきなり極端な行動に出る人がいますが、これまでとまったく違う自分を他人に見せる場合は、期待通りのリアクションは「なくても当たり前」と知っておく必要があります。

変化を求めるのは自分だけの事情であって、それを知らない人たちに突然「新しい自分」を見せても、相手のなかに戸惑いや疑問が先にくれば歓迎されることは難しいのが現実です。

「どうしたのだろう」「何かあったのだろうか」と思われたら自分が意図しなかった関心を引くこともあり、別のストレスを受けるのは悲しいですよね。

極端な変化が成功するのは、他人のリアクションに左右されないしっかりとした自信があるときだけです。

これまでの自分に苦しみそこから抜け出したいと思うときは、小さな変化を成功させるのが自信を失わないコツ。

自分から人を誘うことがほとんどなくそれで友人と疎遠になってしまうのを変えたいときは、いきなり「食事に行かない?」ではなく「元気にしてる?」「最近はどんな感じ?」など相手の状態を知ろうとするのが先。

「あなたとコミュニケーションを取りたい」とまずは伝えることで、相手に生まれる変化も穏やかなものになります。

仲が安定していない、気安さがない状態で食事に誘われても相手も困惑するはずで、それより「連絡をくれるなんて珍しいな」とこちらの変化に気づき、返信を送る気になってもらうことが次のアクションを自然なものにします。

お互いの近況を伝えあって「久しぶりに会いたいね」となる、そのときに食事の約束をするのがストレスのない関わり方ですよね。

そうして友人と楽しく過ごせる自分を知って、「変われた」という実感が持てるはずです。

小さな変化から始めるのは相手の状態を尊重することにもなり、穏やかなやり取りを重ねられる喜びを掴みたいですね。

「できなかったこと」に挑戦してみる

仕事のミスはいつも自分の確認不足で、そのせいで取引先の人にまで呆れられてしまい、評価の低い自分では堂々と挨拶もできずに業務が苦痛になっている。

そんな状態で仕事が楽しいはずがなく、ため息をつきながら出社する自分を何とか変えたい、と思う女性がいました。

バリバリとやることをこなして上司にも取引先にも褒められる自分が理想だけど、そうなるにはまずミスをしないこと、確認を怠らないことが肝心で、それらはリストを作ってチェックするやり方でうまくできるようになりました。

もう一歩、この女性が「変わりたい」と思って始めたのが、「自分に似合うメイクや髪型を探す」ことです。

それまでは「こんな自分がかわいくするなんて笑われる」と周囲の目が気になり、地味なメイクに髪はひとつ結びのスタイルで目立たないようにしていたそうです。

どうしてそこに変化を考えたのか、「トイレの鏡で見る自分の疲れた顔がいつも本当に嫌だった」と気づいたからで、そのせいで余計にやる気が失われるのを防ぐために、「自分が気に入る顔になろう」と決意しました。

仲のいい同僚に使いやすいアイシャドウなど聞いて、髪はトリートメントや新しい髪留めを購入し、ネットの記事を見ながらアレンジを考える時間は、「新鮮でわくわくした」といいます。

本当は気に入るメイクをしたかった、でも自分に自信がないからできなかった、その心こそが仕事へのやる気を奪っていたと気がつき、勇気を出して「できなかったこと」に挑戦しました。

髪型を変えた日、同僚からは真っ先に「かわいいね」と言ってもらえて、部署の人たちにも「イメチェン?」と声をかけられ、テンションが上がる自分を実感したそうです。

人の間で縮こまっている自分ではなく、胸を張って立つことができる自分、その変化は「なりたい自分」を改めて掴む勇気から生まれます。

なりたい自分で人とコミュニケーションを取れることが自信になり、取引先の人とも笑顔で挨拶から始められるようになったと聞きました。

自分を変えるきっかけは、こんな新しい挑戦でも、周囲の人たちとのコミュニケーションを楽しめる自分を作ってくれるのですね。

「無理のない変化」が成功の近道

好きな人に対して「こうしてほしい」の要求が多く、それを叶えてくれるかどうかで愛情を確認するような自分をやめたいとき、まず知らないといけないのは「自分の状態に他人は責任を持ってくれない」という現実です。

恋人が自分の期待通りに動いてくれなくてそれを責めても、相手がどうするかは相手が決めることであり、それは等しく自分も同じであるはず。

たとえ恋人のように心の距離が近い相手であっても、手出しできないのが他人の言動であって、それを「私に合わせてよ」とする依存はかえって自分を追い詰めるだけです。

そんな相手任せの自分を変えたいときは、「自分はどうしたいのか」の本音を掴むのが最初。

自分は相手のことをどう思っているのか、「好かれているからこっちも好き」ではなく「この人を好きな自分に胸を張れる」と思えたときから行動が変わります。

何かを要求するのが当たり前だった自分から、何かを差し出せる自分に変化するのは、人を能動的に愛することの幸せに気がつくから。

「この人が好き」と思うからこそしてもらったことが愛情と感じられる、満たされる、恋愛は一方通行の思いではなくお互いに「差し出しあう」が叶うのが対等です。

その自分を知ってほしいと思うのも愛情であって、「いつもありがとう」と言葉にすると、その変化が相手にとってはあたたかい衝撃になります。

素直になること、いきなり極端な行動に出て思いを伝えるのではなく、思いを言葉にする姿でも、ふたりの間に信頼が生まれます。

声に出して伝えるのは勇気がいりますが、「変わった自分を見せなければ」と無茶をするより、無理のない変化から始めてみるのも自分のため。

特に、今まで自分の気持ちや感情を相手に伝えることから逃げていた人ほど、振る舞いではなく「思いを言葉にする」姿勢で愛情を伝えることは、相手にも確実に思いが届けられるためやってみたい変化です。

コミュニケーションは会話が基本であり、「態度でわかってよ」ではなくしっかりと気持ちを届けることで、相手も本音を言いやすくなります。

「こんな自分を変えたい」と思う瞬間から、心は変化を受け止める器を持ちます。

何をするにしても「これができる自分」を実感することが変化の成功には欠かせず、小さなことから変えていけば受け止めやすくなります。

自信を自分で作れるようになるのが変化の目的であることを忘れずに、無理をしない範囲で挑戦を続けていきたいですね。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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