観光地として定着していない川崎市 訪日客誘客へ常設ツアー開発

モニターツアーで切り子体験を楽しむ参加者=昨年12月、川崎市川崎区(同市提供)

 川崎市が旅行会社などと連携し、市内を巡るインバウンド(訪日客)向け常設ツアーを開発した。浮世絵鑑賞やガラス工芸体験、飲食などを楽しめる内容で、1月から販売が始まった。川崎は観光地として定着していないが、さまざまな観光資源を結びつけることで付加価値を生みだし、魅力をアピールする狙いだ。

 「川崎で宿泊する訪日客は多い。でも、なかなか市内を巡ってくれない」

 観光振興に取り組む川崎市の担当者は、悩みを口にする。市内では臨海部の工場夜景が人気だが、他に多くの訪日客が訪れるスポットは少なく、観光振興は長年の課題となっている。

 それでも「まだまだ訪日客を呼び込める可能性がある」と市担当者は言う。

 市南部の川崎区は羽田空港から近く、恵まれた立地条件が強みになる。市によると、市内の外国人宿泊客は年々増加を続け、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年は約28万人に上った。

 市内には川崎大師(川崎区)や藤子・F・不二雄ミュージアム(多摩区)、日本民家園(同)など日本文化に触れられるスポットも少なくない。市は、食や土産品を扱う店舗なども含め、さまざまな観光資源を結びつけることで魅力を高められると考えている。北部地域への誘導も課題だが、北部には都内から箱根まで延びる小田急線が通り、「ツアーの経由地」としてPRすることも検討している。

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