建物傾斜や危険判定 技術向上へ模擬訓練 茨城・水戸

模擬訓練で柱の傾きを計測する応急危険度判定士ら=県庁

大規模地震で被災した建築物の倒壊などの危険を判定する応急危険度判定士の模擬訓練が12日、茨城県水戸市笠原町の県庁で行われた。行政と民間などから約60人が参加し技術向上を図った。1日に能登半島地震が発生したばかりで、参加者は緊張感あふれる姿勢で訓練に臨んだ。

訓練は県が主催。判定活動を迅速・的確にできるよう毎年実施しており、今年で20回目。

建築物の被害を再現したパネルや傾いた柱が用意され、参加者は建物の傾斜、窓や基礎のひび割れ、外壁の被害などを目視や機器による測定で確認。「要注意」「危険」などの総合判定を下した。その後の座学で自らの判定と解答例を比べ、知見を深めた。

建築会社代表を務める水戸市の平沼清美さん(60)は「能登半島地震で判定士の必要性を改めて感じ、緊張感を持って参加した。判定を通して技術を磨くことができ、よかった」と振り返った。

県建築指導課によると、県内の判定士は現在1879人。東日本大震災の際は県内で延べ929人が1万6000棟近くの被災建築物を判定した。熊本地震など県外への派遣実績もある。

© 株式会社茨城新聞社