能登半島地震の石川県珠洲市での揺れを再現 周期が1秒~2秒ぐらいの揺れが木造建築に大きなダメージ 名古屋大学減災館

能登半島地震では、耐震化や家具の固定などの大切さを、改めて考えさせられました。災害への備えを皆さんと考えます。

(永岡歩アナウンサー)
名古屋市千種区、名古屋大学にある減災館(げんさいかん)に来ています。ここは、地震への備えを、さまざまな展示に触れながら改めて実感し、考えてもらうきっかけになる施設です。

私は1月1日の地震を岐阜県で経験しました。その後、富山に移動したんですけれども、いつも違う風景で富山駅は大混雑でした。皆さんもいつ何が来るかわかりません。そのときのための備えを、この減災館でしていただきたいと思います。

減災館は午後1時~4時(入場は3時半まで)開館、誰でも無料で見ることができます(5人以上は要予約)。
※休館日:日、月、火、最終土曜、祝日、年末年始、年度末・始、お盆(原則)

地震に関する情報がまとまっていて、非常にわかりやすい施設です。

入口を入ってすぐに、令和6年能登半島地震の情報も出ています。また、神戸の地震の揺れ、そして熊本の地震の揺れ、さらには今回の能登半島の地震の揺れなどの観測記録をパネルで見ることができるんですが、それ以上にわかりやすく知ることができるということで、名古屋大学 減災連携研究センター飛田潤(とびた じゅん)センター長にお話を伺います。こちらではどういったことを見ることができるんでしょうか。

石川県珠洲市の揺れを再現

(名古屋大学 減災連携研究センター飛田潤センター長)
今回の地震などでも振動を測ってるセンサーがありますが、それで計測した揺れのデータを、ここにあるBiCURI(ビクリ)で再現することができます。BiCURIは、実際に起きた地震の揺れを振動台で再現できるシステムです。

(永岡アナウンサー)
実際に起きた1月1日の石川県珠洲市(すずし)の揺れを再現することができる。それではお願いいたします。

それぞれの地点に、いわゆる観測値データを受けるところがあって、そのデータで実際の揺れの動きがわかるわけですね。

(飛田センター長)
震度6強になった、揺れそのもののデータをここに入力します。

(永岡アナウンサー)
揺れ始めました。

(飛田センター長)
ここの特徴は、震源に近いということもありますが、この後ご覧いただけるように、大きくグッグッと揺れる、周期が1秒から2秒ぐらいの成分がかなりあるんですね。こういう揺れですと、木造の家屋にとても大きな影響があります。

(永岡アナウンサー)
前後もそうですけれども、左右と、かなり動きが激しいです。

(飛田センンター長)
そうですね。大きく動くところがあることがおわかりいただけると思います。

「耐震」の重要性を再認識した能登半島地震

(永岡歩アナウンサー)
こういったデータを得ることで、どういった研究に生かされるんでしょうか?

(飛田センター長)
研究ではまずは対策として、現地でまだ大変な思いをされてる方々に「こういう揺れがまだありうる」ということをわかっていただくのが一つ。それからもう一つやっぱり、実際の建物が、こういう揺れを受けてどんなふうに壊れるかということが、将来の防災に、特に「耐震」ということがとても大切だということが、今回改めてわかったということが重要だと思います。

(永岡アナウンサー)
飛田センター長は、今回の能登半島地震をどのように見ましたか。

(飛田センター長)
やはりまずは建物が安全であるということが、非常に影響が大きい。阪神淡路大震災から建物の耐震化ということを、日本は一生懸命やっていますけれども、まだ、こういった被害が起こるということで、さらに耐震化を進めることがとても大切だということが、まずは一つ大事なポイントだと思います。

(永岡アナウンサー)
これだけ耐震化叫ばれておりますけれども、やはりまだまだ皆さんが、しっかり対策をとっていくことが大事。そして東海地方の皆さんも、いつ来るかわからないその巨大地震に備えて、しっかり対策をとっていただきたいということですね。

津波は“波が長く”防波堤を越えてしまう

(永岡アナウンサー)
そしてこの地方で言いますと津波、やはり大きな影響があると思いますが、こちらは津波の仕組みがよくわかる装置になっているということですが。

(飛田センター長)
はい。簡単な形で津波の様子をご覧いただきますが、まずは普段の波、皆さん、海に行くとご覧になると思いますが、まず風などによってこんなふうに波が起こるんです。

(永岡歩アナウンサー)
このような波ですと、防波堤より奥に行くことはほとんどない。もちろん、我々が住んでいる地域に行くようなことはほとんどありません。はい。波の長さが短いっていうとこがポイントですね。

(飛田センター長)
今度は津波です。実際には海底がぐっと持ち上がって水が動くんですけれども、今回は模型ですので上から下に水面を押します。

(永岡アナウンサー)
そうすると、一つの波が一気に防波堤を越え、街まで届きますね。

(飛田センター長)
これやっぱり波の長さが長くてですね、水が流れて、陸の奥の方まで届くというところが大きな違いです。

(永岡アナウンサー)
同じ「波」という漢字を書きますけど、津波と普段の波というのは、全く別物ですね。

(飛田センター長)
そうですね。原理が違いますし、影響も全く違ってくるということをおわかりいただけると思います。だからこそ、津波の警報が出たらすぐに避難をしていただきたいと思います。

渥美半島では最大20メートル以上の津波か 名古屋には…

(永岡アナウンサー)
さらに減災館では、進んでいきますと、南海トラフ巨大地震における「津波の高さの参考値」というものも紹介されています。

フリップにしてみました。見ていただきますと、愛知県の渥美半島、さらには太平洋側の一部ですと、最大20m以上の津波が予想されていると。

(飛田センター長)
そうですね。場所によって非常に高い津波と、それからやはり南海トラフの地震から近いところもありますので、外海に面したところは早く、津波が到達する。5分とか10分で到達するということになるのがとても重要ですね。

(永岡アナウンサー)
そして、伊勢湾の少し奥に行きますと、知多半島は40分から65分後ぐらいに4mから7m。さらに、伊勢湾北部になりますと、80分から120分後に3mから4メートル。

(飛田センター長)
湾の中の津波の伝わり方によりますけれども、浅くなると少し遅くなるということはあります。それから湾の形によって高くなったり低くなったりもします。ですがいずれにしても名古屋港の辺りでも1時間ぐらい(で到達)という値にはなりますが、それで時間の余裕があるというよりは、やはり大きな揺れの後、素早く避難をしていただくということがとても大切になると思います。

(永岡アナウンサー)
つまり、この80分あるから余裕があるということは決してなく、すぐにでも逃げられる準備をするということが大事。

(飛田センター長)
まず一つはこういうことが起こったときに、どこにどういうふうに避難するかということがとても大切。起こってからでは難しいです。

もう一つは、「南海トラフ地震臨時情報」というのがありますので、そういったことに対応して「事前避難」ということも計画されている地域があります。そういったことを理解いただくのが大切と思います。

(永岡アナウンサー)
ご自身の皆さんの地域がどのような対応をとっているのか、さらに皆さん自身でも対策を日々考えていただきたい、そういったきっかけにこの減災館があっていただければなと思います。

【名古屋大学減災館】(名古屋市千種区不老町)
開館:午後1時~4時(入場は3時半まで)。無料(5人以上は要予約)
休館日:日、月、火、最終土曜、祝日、年末年始、年度末・始、お盆(原則)

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