大学入学共通テスト直前まで部活で全国大会 高校ラグビー花園出場と獣医 2つの夢に挑む高校生  

2つの夢を叶えようと、大学入学共通テスト直前の正月までラグビーの全国大会に出場し、1月13日からは共通テストに臨む1人の受験生を追いました。

高校ラグビーの全国大会、通称「花園」。元日も熱戦が繰り広げられました。

(実況)
「春日丘選手交代です。20番の小倉が入ります。この人は大学共通テストを受験予定と聞いています」

愛知県代表・中部大春日丘の選手としてこの大舞台に立った、3年生の小倉竜瑚(おぐら・りょうご)さん。

花園とは別の、もうひとつの夢がありました。

小倉選手が通う春日丘高校は11年連続13回の花園出場を誇る強豪校。試合前日の大晦日も練習です。

(宮地真監督)
「正月1月1日から上はそう簡単に勝てない。とことんやらないと。最初から最後まで本当に死ぬ気のプレーで」

小学4年生のときにラグビーを始めた小倉選手。花園で見た春日丘のジャージが目に焼き付いたといいます。

「いつかは自分も」。そんな思いとともに将来はある職業に就きたい、と思うようにもなりました。

(小倉選手)
「昔飼っていたネコがステージ4のガンになっちゃって。助かる見込みがほとんどないのに、獣医の先生が最後まであきらめずに寄り添ってくれて。そんな獣医になりたいと」

ラグビーと獣医 2つの夢を追いかけて

強豪・中部大春日丘のラグビー部で厳しい練習を重ね、国体のメンバーにも選ばれた小倉選手。

その一方で、獣医という夢に向かって勉強も続けてきました。

(小倉選手)
「部活やって家に帰ってから1~2時間、頑張っても3~4時間。3年生になって増えたけど、1年生のときからコツコツ」

チームの3年生で、難関大学を目指す特進コースに通うのは小倉選手だけ。

(チームメイト)
「ふつうの受験生は学校終わったら勉強して一日過ごすのに、竜瑚はまず練習何時間もやって、すごい努力家」

花園の試合のために泊っている大阪のホテルにも、参考書を持ってきました。

目指すは岐阜大学の獣医学科です。

(小倉選手)
Q共通テストの目標は
「(900点満点で)700点なので80%弱とりたい」

勉強もラグビーも頑張ってきたのは、ひとりで育ててくれたお母さんへの恩返しでもあると言います。

(小倉選手)
「一番支えてくれた人。僕にとってはお母さんが小学生の頃から応援してくれているので、ぶれずにやってこれた」

翌日はいよいよ、夢だった花園。

一方で、大学入学共通テストまであと2週間。

そんな中で、花園での試合当日を迎えました。

(小倉選手)
「あけましておめでとうございます」
Q勉強は?
「12時くらいまでやって、ちょっと睡眠優先しました、きょうは」

不戦勝もあり、1月1日が初戦となった春日丘。相手はシード校の強豪・国学院栃木。一進一退の攻防が続きます。

後半に入って10点リードした春日丘ですが、厳しい展開にスタメンの選手たちにも疲れの色が。

そのとき、ベンチの小倉さんに声がかかります。

(小倉選手)
「結構接戦の場面だったじゃないですか。ここでか?と思ったんですけど」

後半26分、夢の舞台・花園に立った小倉選手。

相手に攻め込まれる苦しい展開の中、するどいタックルで相手の攻撃を食い止めます。

粘る相手に5点差まで迫られますが、何とか守りきって試合終了。シード校を破り、春日丘としては過去最高に並ぶベスト8進出を決めました。

(小倉選手)
「チームみんなでうれし泣きしちゃって達成感はめちゃくちゃある。
Qきょうも勉強しますか
「ミーティングとかの後、隙間時間見つけてやろうかな」

しかし、次の試合で春日丘は惜しくも敗退し高校でのラグビー生活に終止符を打った小倉選手。

次はもう1つの夢、獣医を目指して大学入学共通テストに臨みます。

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