浜田文子がアルシオン卒業式に電撃登場「どうしてもいたかったので」拠点のメキシコから客席に

グラン浜田の娘でプロレスラーの浜田文子が12日、自身がデビューした女子プロレス団体アルシオンの一日限りの復活興行「ARSION THE FINAL ~卒業~」(新宿FACE)で、久々となる日本マット電撃登場を果たした。

同団体は全日本女子プロレスの分裂騒動を経て、現スターダム・エグゼクティブプロデューサーのロッシー小川氏が1998年2月に設立。資金繰りの悪化に陥り、2003年6月22日の後楽園大会で堀田祐美子率いる「Z-SPIRITS」との対抗戦に敗れ、同24日に堀田が立ち上げた新団体「AtoZ」に所属選手が吸収される形で活動を休止した。

浜田はアルシオンで活躍し、以降もトップ戦線に立ち続けたが2018年5月に覚醒剤取締法違反(使用および所持)の容疑で逮捕され、懲役1年6月(執行猶予3年)の有罪判決を受け、日本から離れた。この日、浜田はビデオメッセージで出演し、メキシコで浜田道場を立ち上げ、現役選手として新人の育成を行っている近況を報告。涙ながらにアルシオンへの感謝を口にした。

しかしメイン試合終了後、小川氏が出場した選手、OGに卒業証書を渡し終えたところで、観客の男性から「もう一人います!」と声が上がると、傍らに浜田がいた。

会場から拍手と「お帰り」の声が起こり、リング上からも温かく迎えられリングインした浜田。「文子」コールの中でマイクを持ち「今日は試合に出られなくて、すみませんでした。どうしても(卒業式に)いたかったので、来ちゃいました。すみません。皆さん本当に申し訳ございませんでした。これからも、浜田文子をよろしくお願いします」と頭を下げた。

小川氏は「アルシオンはたった5年間の活動でしたが濃密でした。ちゃんとした解散がなく、選手とファンには申し訳ないことをしました」とあいさつし、区切りの復活興行への感謝を述べた。そして満員の観客の中で卒業10カウントゴングが鳴り響いた。

アルシオンは格闘技とメキシコのルチャの要素を混ぜ、空中殺法や関節技、グラウンドの攻防も展開した。ビジュアル面も重視し「ハイパー・ビジュアル・ ファイティング」を掲げた。所属選手がリング上で激しいファイトを見せ、演出やファッションなどビジュアル面も重視した。

小川氏はバックステージで「文子が最後に来たのは本当にビックリした」と語り、「アルシオンは文子がいてこそ。スーパールーキーから駆け上がってチャンピオンになって、それからはどこにいっても第一線。アルシオンの礎があったからだと思う。文子が来てくれて良かった。いなかったら卒業でも一枚足らなかった」としみじみ。「スターダムはアルシオンがなし得なかったことをつないでいる。基本はアルシオンであり、その前の全女だったのかもしれない」と、現在へのつながりを口にした。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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