長崎・浜屋百貨店で北陸物産展 「特産品の魅力知って復興の一助に」

金沢の銘菓「柴舟」などが並ぶ北陸4県物産展=長崎市、浜屋百貨店

 石川、新潟、富山、福井の北陸4県の物産展が12日、長崎県長崎市浜町の浜屋百貨店で始まった。売り上げの一部を能登半島地震の復興支援金として寄付する。ひろず(がんもどき)を扱う金沢豆冨(金沢市)の売り子は声を張り上げた。「『頑張ろう石川』という意気込みで長崎に来た。元気な姿を皆さんに見せたい」
 初企画として準備を進めていた浜屋担当者は、元日の地震発生後しばらく「被災地の状況を把握できず、開催できるかどうか分からなかった」。数日かけて出店の可否を確認した結果、火災に遭った輪島塗の事業者など5社がキャンセル。だが、ほか24社が参加の意向を示したため、浜屋は「販売を促進することで復興の一助としたい」と開催を決めた。
 のどぐろや白エビ、きんつば、金箔(きんぱく)、九谷焼などの特産品が8階特設会場に並んだ。石川県物産協会の岩間等専務理事は「物流が止まって商品が長崎まで届かない恐れも想定していた。無事に開催できて良かった」と胸をなで下ろした。
 加賀友禅を扱う大岡商会(金沢市)の大藪佑介社長(46)は、被災状況について「店の商品がぐちゃぐちゃになったが、建物自体は大丈夫。何とかやっていける」と話した。ただ震災で同市内の観光客が減り、「(地元に)閉じこもっているだけではどうにもならない」と出店を決意。「物産展を開いていただき感謝している。ここで商品の魅力を長崎のお客さんに知ってもらい、落ち着いたら北陸に来てほしい」と願った。
 会場は初日から買い物客でにぎわった。諫早市小船越町の70代女性は「自分も諫早大水害に遭っている。自然災害は怖い」と被災地を思いやった。どう寄付すればいいか分からなかったと言い、「北陸の商品を直接買うことで少しでも応援になればうれしい」と油揚げや干支(えと)の工芸品などを購入した。
 物産展は21日まで。1階には義援金募金箱も設置している。

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