イノシシ肉、学校給食に 市内で捕獲、地元施設で食肉加工 ショウガ焼き「おいしい」 淡路市

イノシシ肉のショウガ焼きをほおばる児童=淡路市生穂

 兵庫県淡路市で捕獲、加工したイノシシ肉を使ったショウガ焼きが、市内全小中学校の給食に登場した。同市興隆寺の「興隆寺ジビエ処理加工施設」を運営する合同会社興隆寺が初めて提供した。児童は「さっぱりしていておいしい」と満足そうに味わった。(中村有沙)

 市は興隆寺、野田尾地区で新火葬場を建設中。両地区の活性化と鳥獣被害対策のため、2021年に同施設を整備した。

 地域住民が出資する同社が、市の指定管理者として施設を運営。猟師が捕獲したイノシシを食肉に加工後、地元飲食店に提供したり、同施設で販売したりしている。

 以前は捕獲後、廃棄していたイノシシを食肉として活用する-という取り組みを子どもに知ってもらおうと、市が同社へ依頼し、今回の提供が実現した。

 給食に使われたイノシシ肉は15頭分に当たる約200キロで、市給食センターが全16校の約3400食分を調理。歯ごたえのあるイノシシ肉を食べやすいよう薄くスライスするなど工夫した。

 同市生穂、津名東小学校の6年生の教室では、同施設で加工販売に携わる川淵朴貴さん(29)が前もって「稲を倒すなどして農家を困らせているイノシシを捕まえ、食肉として活用している」などと説明。イノシシの肉について「怖いイメージがあるかもしれないが、牛や豚の肉とはまた違う自然のおいしさがある。それを感じてほしい」と呼びかけた。

 児童はショウガ焼きを口にすると「おいしい!」と驚きながら喜び、あっという間に完食していた。

 女子児童は「イノシシが食べられることを初めて知った。とてもおいしかった。食肉に利用しているのは良いことだと思う」と話していた。

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