アマチュアゴルファーの約7割がスライスに悩んでいます。その第一の対処法としては、テークバックでフェースが開かないようにシャットフェースをキープすること。ところが、そのようにしてもスライスが改善しない人が4割くらい存在します。そんな方は今回のレッスンがピッタリと当てはまるはずです。
今回の受講者は…
「100切り目前なのですが、1ラウンドで5回くらいはスライスによるOBが出てしまい、なかなか100を切れません…。上級者の友人のアドバイスを受けて、フェースを開かないようにテークバックしてクラブをインサイドから下ろすように意識していますが、一向にスライスが直りません。球が低いのも気になります…」(宮崎さん 平均スコア105)
直らないスライスの原因をスイング解析で究明
ドライバーのインパクト時のヘッド軌道は3度強のアウトサイドインでレベルブローに近い数値となっています。ドライバーはインサイドアウト軌道のアッパーブローが理想なので、スイング軌道をまず改善していきたいところです。一般的なスライスの改善方法として、テークバックでフェースを開かせないやり方があります。ヘッド軌道が自然とインサイドアウト軌道へ修正され、スライスも収まることが多いのですが、どうして宮崎さんの場合はスライスが直らず軌道が悪いままなのでしょうか。
宮崎さんのアウトサイドイン軌道が直らない原因は、ずばりトップ時の体の回転不足。トップで左肩が十分に入らなければ、ダウンスイングでクラブを下ろすスペースがなく、インサイドから下ろせないのです。なぜ体が十分に回らないのでしょうか。
ここには球をつかまえるためのスイングタイプが関係してきます。過去に説明しましたが、宮崎さんは左腕を脱力して前傾した状態のときに手の甲が飛球線方向に向く、リストワークを意識的に使ってスイングすべきタイプ。このような人がフェースを開かないように上げると、トップで左肩が十分に入りません。モーションキャプチャーのデータでは、トップまでで左腕が20度程度しか回旋しておらず、非常に窮屈な感じがしていると思います。
テークバックでシャットフェースをキープする意識はいったん捨てましょう。宮崎さんはテークバックで左腕を内旋して適度にフェースを開く方が格段に振りやすくなりますし、ショットが安定してきます。わざわざ自分のタイプに合わないスイングを追い求める必要はありません。泥沼にハマる可能性が非常に高く、自分のタイプに従った練習をする方が、圧倒的に上達も早いものです。
自分に合ったテークバックで振りやすさが激変
試しに、腕の回旋をしないでフェースを閉じたまま上げる場合と、腕を回旋してフェースを開きながら上げた場合を比較してみましょう。腕を回旋しないと、胸があまり回りませんよね。一方、腕を回旋させながら上げると、胸も自然に回っていくことが体感できるはずです。胸が自然に回ることで、クラブを下ろすスペースがグンと広がります。
テークバックでフェースを開く最適な度合いは、ハーフウェイバックでフェースが正面を向く感じです(あるいはトウが真上を向く感じ)。左腕の回旋やフェースの開閉が必要なタイプだといっても、これを超えるほど大きく開いてしまわないように練習してください。やることはそれだけ。このハーフウェイバック以降は何も意識しなくて大丈夫です。そのまま上げていきましょう。
ハーフウェイバックで適度なフェースの開きをもたせたことで、ヘッド軌道は勝手にインサイドアウトへと変わっていきます。インサイドアウト軌道は意識的に行うものではなく、テークバックを整えることで自然にそうなるものなのです。レッスン後(写真右)を後方から見ると、アドレス時のシャフトラインよりもやや低いところからクラブが下りているのが分かります。インサイドアウト軌道に改善し、しっかりと球をつかまえられるようになりました。
それでは、今回のレッスンを動画でご覧ください。