犬の歯周病を招く『絶対NG行為』4選 飼い主がやってはいけないダメ習慣と予防する対策とは

犬の歯周病とは

犬の歯周病は、人の歯周病と同じように歯垢中の細菌が原因で歯肉が腫れたり、歯を支えている組織が壊れてしまう病気です。進行するとあごの骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜けたり下あごが骨折してしまうこともある恐ろしい病気です。

歯周病の症状は多くありますが、代表的なものは以下の通りです。

  • 口臭が強くなる
  • 口元を触られるのを嫌がる
  • 歯垢や歯石の付着
  • 歯茎が赤く腫れ血や膿がでる

早期治療がとても大事なので、愛犬の歯や口周りは日頃からチェックすることをおすすめします。

犬の歯周病を招く「絶対NG行為」

犬の歯周病の恐ろしさや症状を理解したところで、さらに飼い主がやってはいけない、犬の歯周病を招いてしまう「絶対NG行為」を確認しておきましょう。

1.愛犬の歯磨きをしない

愛犬のお手入れの中でも、とくに犬が敬遠しがちなのがこの「歯磨き」ではないでしょうか。そもそも歯磨きを好んでさせてくれる犬は少ないと思います。

犬の場合、歯に付着した歯垢は3~5日で歯石に変わります。人ではおよそ2週間程度なので、犬の方が格段に早いのです。そのため、愛犬の歯磨きを怠ると、歯周病や歯槽膿漏などの口の病気に繋がってしまう恐れがあります。

2.十分な水分量を与えていない

歯周病には、「水分摂取量」も大きく関わってきます。水をあまり飲まないと口内が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。

また、水を飲むことで汚れや細菌を洗い流し、口内を清潔に保つことができます。

ほかにも、夏場よりよだれの量が減る冬場は、歯周病リスクが高まると言われています。

3.ウェットフードだけ与える

ドライフードよりウェットフードが劣っているという訳ではなく、含まれている水分量の違いが歯周病のなりやすさに影響します。

ウェットフードの水分量は約75%あり、さらにとろみをつける目的で増粘安定剤が添加されている場合が多く、どうしても歯に付着しやすいフードです。

対してドライフードの水分量は約10%のため、犬は食後によく水を飲みます。前章でも書きましたように、水分摂取は犬の口内を生活に保つには必要なのです。

フードが固ければ必然的に噛む回数が増え、唾液の分泌量も増えるので歯周病予防には効果的です。つまり、ウェットフードだけではこの歯周病予防の効果が発揮されないため、結果的に歯周病を招くリスクがあるのです。

4.ストレス

ストレスを全て取り除くことは難しいものですが、過度に負担をかけるのはもちろんNGです。歯周病とストレスは密接に関係しています。

ストレスにより唾液の分泌量が減り、口内の衛生環境が悪化します。また、犬もストレスから歯ぎしりをすることがあり、これによって歯や歯茎に負担をかけてしまいます。

このように、ストレスが愛犬の歯周病を誘発することもあるので、飼い主さんは十分に気を付けましょう。

犬の歯周病を予防する対策

何といっても一番大切なのは、毎日の歯磨きです。

最近では歯周病予防グッズとして、歯ブラシのほかにも歯磨きシートや液体デンタルケアなど数多く販売されています。とはいえ冒頭でも書いた通り、犬にとって歯磨きは苦手なお手入れのひとつ。なんとか慣れてもらう必要があります。

まずは愛犬の口周りに触れることで、口に触られることに慣れさせましょう。愛犬が口元を触られることに慣れてきたら、歯磨きシートを使って口の中を優しく磨いてみましょう。

時間はかかるかもしれませんが、根気強く行うことが大切です。できれば子犬の頃から習慣づけると良いですね。

他にも歯垢除去が期待できる食べ物として、人参、セロリ、りんごなどがあります。歯周病予防を兼ねて、おやつとして積極的に与えることをおすすめします。

前述の通り、水分不足で歯周病発生リスクが高まります。そのため、いつでも水が飲めるように、新鮮な水を数か所置くと良いでしょう。冬場は唾液の分泌も減りますので、より積極的に飲水させることが大切です。

まとめ

歯の健康は愛犬にとって非常に重要です。歯周病が進行すると、抜歯、骨や組織の治療へと移行し、治療費も高額になります。

愛犬、飼い主さん双方の負担を軽減するためにも、まずは日々の歯磨きをしっかり行いましょう。

大切な愛犬にはいつまでも元気で長生きしてほしいものです。飼い主さんがしっかりと歯の健康管理も行ってくださいね。

(獣医師監修:寺脇寛子)

© 株式会社ピーネストジャパン