昭和レトロ 3D映像に/野辺地町役場、今夏解体前に 高田さん(七戸町)制作

高田さんが制作した野辺地町役場内部の3D映像の一場面。右側の壁には「ナショナル」ブランドの扇風機がある
お気に入りという階段の前に立つ高田さん
3D映像にアクセスできるQRコード。URLはhttps://my.matterport.com/show/?m=wWXmBuhhqpY

 青森県七戸町の地域おこし協力隊員でもある高田浩司さん(36)が、新庁舎建設に伴い今年8月ごろに解体予定の野辺地町役場の3D映像を個人的活動として制作し、野辺地町が9日から公開を始めた。築70年目の「昭和」を感じさせるレトロな庁舎の外観や内部に説明を加えながら、映像で紹介している。

 地域おこし協力隊員としてユーチューブの動画や3D映像の作成に携わり、七戸町の情報を発信している高田さんが野辺地町役場前を車で通った際、「グッとくる外観」(高田さん)に感激。インターネットで検索し、役場内部の写真を見て、3D映像を制作したい思いを募らせたという。

 昨年9月、東京都で行った県主催の「UIターン・交流フェア」で野辺地町企画財政課の鈴木芙弥子主幹に「役場の3D映像作成をさせてほしい」とお願いし、鈴木主幹が上司と相談した結果実現した。

 高田さんは10月21日に半日ほどかけ、特殊なカメラで庁舎の外観や住民になじみ深い場所を中心に内部を撮影。編集作業などを経て、このほど完成した。

 3D映像では実際に歩いているように内部を見学でき、町長の在室や不在などを知らせる昔ながらのスイッチ、北前船で財を成した同町の豪商野村治三郎宅で使われ移設された階段、木が乾燥し痩せて隙間ができた議場の扉部分などの説明も添えている。また、町立歴史民俗資料館の協力を得て、映像の中に、1954年7月の役場建設地鎮祭や69年7月に撮影された庁舎内写真なども掲載した。

 鈴木主幹は「私たちが当たり前と思っていた風景を違った視点で捉えており、改めて魅力が詰まった建物だと感じた」と話した。高田さんは「70年前、どんな感じで仕事をして、今に引き継がれているのかを表現したかった。内部を見て、いい素材が残っていると改めて実感した」と述べ、「映像を通じ多くの人に建物の良さを感じてもらえれば」と語った。

 3D映像は野辺地町のホームページなどから確認できる。

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