日没16分後のホールアウト 7バーディ量産でも蝉川泰果が貫いた決め事

日没順延を回避してバーディフィニッシュ(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇ソニーオープンinハワイ 2日目(12日)◇ワイアラエCC(ハワイ州)◇7044yd(パー70)

この日、ハワイ州ホノルルの日没は午後6時8分。蝉川泰果が最終9番(パー5)を2パットのタップインバーディで締めくくって最終組がホールアウトしたのは午後6時24分だった。

蝉川とアレハンドロ・トスティ(アルゼンチン)が8番グリーンのプレーを残している状況で、予選通過が絶望的だった同組のサミ・バリマキ(フィンランド)が9番のティショットを打ったことにより何とか持ち越しを回避。組についていたトーナメントスタッフにも確認をとった上での“ファインプレー”に蝉川も「終わってくれて良かった。あした朝早いのは…」と感謝する。

昨年の日本ツアーでは同様に日没間際のプレーとなった「ツアー選手権」や「ANAオープン」で「上がりにバタバタしちゃって、もったいないボギーをいっぱいたたいた」。反省を生かして、急ぎつつも、ひとつひとつのプレーは丁寧に。6番からの2連続ボギーにも気持ちを乱さず、すでに暗くなっていた9番も1Wショットでフェアウェイど真ん中を捉えて2オンのバーディにつなげた。

7バーディ量産の「65」(撮影/田辺安啓(JJ))

昨年12月の「日本シリーズJTカップ」から、試合中にリーダーボードを見ないようにしている。その優勝した試合では最終日の終盤に目に入ってしまう想定外もあったが、この日はしっかり“無視”を決め込んだ。「見てしまって、いいところにいると思うと、『これは置きに行こう』とか、そうしてしまうところがある。いまはボードを見ずに自分らしいゴルフをして、(結果的に)負けたとなったとしても…」

一時はトップ10圏内に浮上。7バーディ、2ボギーの「65」で首位と2打差の通算7アンダー14位にいることは、終わってから知った。「いいところですね」と笑った表情を、すぐに引き締める。「やっぱりPGAツアーの試合は、トップからずっと(選手が)詰まっているイメージ。2打差で14位タイになっちゃうんやって。1打の重みを感じます」と言った。

首位と2打差の14位で週末へ(撮影/田辺安啓(JJ))

海外初優勝を目指すシーズン初戦、それも最高峰のツアーで訪れた週末のチャンス。「去年、苦い思いをいっぱいしたPGAツアーの試合。去年よりどれだけできるかという不安もあります。自分らしくバーディを量産するゴルフができれば、また面白い位置にいられるんじゃないかと思う。上を見て頑張りたい」。脇目もふらず、アグレッシブに戦い抜く。(ハワイ州ホノルル/亀山泰宏)

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